花束
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ご無沙汰しておりました~ えっ!もしかして再開?



いやぁ~
随分長い間放置したモノですなぁ~
掃除や害虫駆除をやらないとお店を再開できませんぞい…


ってことで、お店を再開?することになりそう?
店主が追われる身なので、また突然、店を閉めてどっか行っちまうかもしれませんが
それはご愛嬌ってことで、よろしくお願い致しますわいwww

リハビリ?を兼ねて、おひとつお料理を…
オイッこの料理喰ったことあるぞッ!
とか
腕が堕ちたんじゃね?
とか言うんじゃないよ~><









- 邪転 -



「そこまでよッ! 邪魔法界の騎士、首なしデュラハン!」

誰も寄りつくことがないであろう半壊した洋館。
その大広間に飛び込んで来た少女が首のない黒い鎧の動きを制止する。

「フフフ… ひとりで飛び込んで来るとは、バカな小娘だ」
「フンッ! すぐにみんなが駆けつけてくるわ  それにッ!」

少女が握りしめた右手の拳を顔の前に持ってゆくと、拳の甲に黄色に輝く神魔方陣が浮かび上がった。

「神魔法ッ! 我が主、大地の女神ガイアの力よ」
「フフフ… そこまでだ」
「!?」

今度はデュラハンの言葉が少女の動きを制止する。

「た…す…けて……」
「ッ! ま、まさか、シスター?」

顔は見えないが、その声は聞き覚えのある声だった。

「く…くるしい……」
「やっぱりシスターの声…
  でも、どうしてシスターがデュラハンに…」

デュラハンの腕の中でぐったりしているシスターをみつめる少女の拳が解かれ魔方陣も消えてしまう。

「フフフ… 大人しくしてもらおうか
  神魔法戦士ガイア  いや、大地檸檬(おおちれもん)」
「人質なんて…卑怯よ  シスターを放しなさい」
「フフフ… こちらの言うとおりにするならば
  この女を解放してやってもいいが」
「わたしに何をしろと言うの…」

デュラハンの言葉に檸檬は怪訝な表情を浮かべる。

「フフフ… 簡単なことだ
  この女を助けたいと思うなら」

デュラハンの手が檸檬に向けて振られると、黒い塊が彼女の前に現れ、宙に浮かんで止まった。

「!? 手袋?」
「フフフ…
  それを両手に嵌めて、神魔方陣を封じてもらおう」
「なっ!」
「フフフ… さすがにそれは出来ぬか」
「うぐぅ……はぁぁ……」
「ま、待って!! シスターに何を」
「フフフ…
  この女の命を頂いている
   早く決断しなければ、この女の命はないぞ」

シスターの体が青白く輝き、デュラハンに精気を吸い取られていた。

「あ…あぁぁ…」
「ま、待ちなさい!! この手袋で神魔方陣を封印すればいいのね」

宙に浮いたまま制止している不気味な黒い手袋を手に取った檸檬。
神魔方陣を封じられて神魔法戦士ガイアへの変身を阻止されても、すぐに仲間が駆けつけて来ると信じ、檸檬は手首までを覆ってしまう黒い手袋を嵌めた。

「嵌めたわ これでいいでしょう  シスターを… うっ…」

手の甲に痛みがはしり、黒い手袋の上に神魔方陣が紅く浮かびあがった。

「えっ!? 痛いっ…  な、なによ… これ…」
「フフフ… こうも簡単に行くとはな」
「ウフフフ…
  ね、言ったとおりでしょう
    最初に狙うなら、ガイアだって…」
「え、えぇっ! シ、シスター?」

デュラハンに抱かれているシスターが地面に降り立ち、身に着けている服を脱ぎ放つ。

「お、お前は… ッ!   きゃぁぁぁぁぁぁ…」

檸檬が嵌めた手袋が邪悪な黒いオーラに変化し、紅く輝く神魔方陣に吸収されて行く。

「混沌の女神カオス…  ワ、ワナだったのね…」
「ウフフフ…
  そうよ まんまと引っかかってくれた
   デュラハン この娘が堕ちるまで、他の神魔法戦士を外で足止めしてなさい」
「フフフ… 御意」

デュラハンは自身の影にその身を沈めて、駆けつける神魔法戦士の迎撃に向かう。

「待てッ! みんなの…  イッ、キャアァァァァァァァァァァ」

黒いオーラを吸収した神魔方陣は黒く染まり、腕から体全体に電子基板の回路のような線が黒く描かれて行く。

「ウフフフ…
  仲間が到着する前に
   堕ちちゃえば、キミに任せてもいいのよ…」
「それは…どういう… わたしが…堕ちるって…  うう…うぐぅ…」
「ウフフフ…
  堕ちるって言うのはね
   キミが邪魔法界の戦士に生まれ変わるってことなのよ」
「そ、そんなこと…  イギッ!」

電子回路図のような黒い線は檸檬の全身にどんどん拡がっていた。

「ウフフフ…
  キミが嵌めた手袋、あれは堕神方陣と言ってね…」
「ハッ… ハッ… ハッ… ぐわァァァァァァァ」
「ウフフフ…
  神魔法界の者を、邪魔法界に隷属させる魔法具なのよ」
「ウググ… わたしは… たえる…  堕ちたり…  ギヒッ」

全身に拡がる苦痛に耐えながら、言葉を漏らした檸檬が天を仰ぎ、大きく目を見開く。

「ウフフフ…
  ムリよ 耐えることなんて出来ないわよ
   キミの神魔方陣から
    すべての神魔法回路を邪魔法回路に書き換えちゃうんだから…」
「ウギギ…  グググ…   カハッ…」
「ウフフフ…
  それって、これまで抱いてきた意志や価値観が
   邪魔法界のそれに置き換わるってことと一緒なのよ…
    って、アテナに踊らされてる 人間界の小娘に言ってもムダよね」
「んグぅ… んん…  うぐッ……」

目を見開いて苦しむ檸檬の顔にも黒い線が現れ、邪魔法界に隷属させる紋様へと変わっていった。

「ウフフフ…
  ほら、隷属の証が刻まれたわよ
   いまからキミのご主人様は
    アテナじゃなくて、このわたくし、カオスよ」
「だ…れガハッ…」

拒絶の言葉を口にしようとした檸檬の意識が飛び、目が反転すると、邪悪な黒いオーラの球体に包まれた。

「ウフフフ…
  とりあえず魔法回路の書き換えが終わったようね
   目覚めなさい
    わたくしの可愛いシモベ、邪魔法戦士カオスガイア」

黒い球体が次第に消滅し、両膝をついて力なく首をうな垂れている檸檬が姿をあらわす。

「ウフフフ…
  生まれ変わった気分はどう?」
「ハイ… とても素晴らしい気分です…」

抑揚のない声で答えた檸檬が顔を上げて、輝きの失せた眼でカオスを見上げる。
回路図のような模様は消えてなくなっていたが、その顔は邪悪な黒いメイクを施したように、唇と目の周りが黒く染まり、額に邪魔法界の紋様が刻まれていた。

「ウフフフ…
  素敵になってるじゃない
   新しい力を纏い、わたくしに忠誠を誓いなさい」
「ハイ… 仰せのままに」

鈍い動作で頭を下げた檸檬がゆらりと立ち上がり顔の前で拳を作ると、神魔方陣に似て非なる黒い邪魔方陣が浮かび上がる。

「邪魔法… 大地の女神ガイアの力と、我が主、混沌の女神カオスの加護を… 魔装装着…」

眩い輝きに包まれ、白銀と黄色に輝く女神の姿を模した魔装スーツが装着される神魔法戦士のときとは異なり、檸檬の体は暗黒に包まれ、禍々しいオーラを纏った黒銀と闇黄色の色違いの魔装スーツが装着される。

「邪魔法戦士カオスガイア ここに降臨
  混沌の女神カオス様に永遠の忠誠を誓います
   このカオスガイアに…何なりとご命令を…」
「ウフフフ…
  いまはまだ操り人形みたいね
   完全に邪魔法回路が馴染むまで、もう少し時間が必要かしら…」

邪悪な笑みを浮かべたカオスがデュラハンがいるであろう方向を見やった。

― ウフフフ… デュラハン、カオスを連中に返してあげましょうか… ―
― フフフ… 御意 ―

駆けつけた神魔法戦士を館の外で足止めしていたデュラハンが命令に従い撤退する。

「ウフフフ…
  カオスガイア
   もうすぐここに神魔法戦士たちが駆けつけるわ
    キミは神魔法戦士ガイアとして、連中に合流するのよ
     わたくしの命令があるまで、これまで通りに行動するの わかった?」
「ハイ… かしこまりました カオス……様…」

魔装スーツが解除され、元の姿に戻った檸檬は、カオスの前に跪き頭を下げると床の上に崩れ落ちた。

「ウフフフ…
  今度はキミが、神魔法戦士を堕とすのよ…」

灰色の風が吹き、カオスの姿を消し去ると、入れ替わりに白銀と蒼の魔装を装着した神魔法戦士セレネーが大広間に現れ、倒れていた檸檬を抱き起した。

「檸檬ちゃんッ! しっかりして、檸檬ちゃんッ!!」
「う… うぅ… セ…レネー…」
「檸檬ちゃんッ 大丈夫ですか」
「う…うん…  あれ… ここは…どこ…  わたし…一体…」

檸檬が頭を押さえて記憶を辿る仕草をしていると、白銀と紅の魔装のアポロンと白銀と碧の魔装のゼウスが周囲を警戒しながら広間に入って来た。

「邪魔法界の気配は完全に消えた 檸檬、大丈夫か?」
「は…はい… スミマセン…みんなを待たずに…」
「無事ならいいんです 檸檬さんもデュラハンに襲われたのね」
「はい、デュラハンを見つけて、ここまで追いかけて来たんですが…」

アポロンが魔装を解除すると、ゼウス、セレネーも魔装を解除する。

「今回は大事に至らなかったが、これからは注意しなさいよ 檸檬」
「天道紅音(てんどうあかね)先輩 スミマセンです…」
「クスクス… これで何度目のピンチでしょうか?」
「6度目です… 碧川空子(みどりかわくうこ)先輩」
「紅音さん、空子さん
  これからは私が責任を持って、檸檬ちゃんを見張りますから…」
「夜神月子(やがみつきこ) 庇ってくれて感謝です」
「その、月子さんの言葉も何度目だったかなァ…」
「あぐっ…  4度目です…」
「クスクス…」

いつもと変わらない様子の檸檬に安堵した3人を見る、檸檬の瞳に邪悪な輝きが宿り。

― ハイ かしこまりました ご主人様   必ずや、彼女を… 邪魔法界に… ―

去り際にカオスが残した魔法思念を受け取った檸檬の眼に、次に狙われる神魔法戦士の姿が映っていた。





おまけの次回予告…

「まったく、心配ばかりさせて…」
「ご…ごめんなさい…」
「檸檬
  今日は少しキツめの、お仕置きよ…」
「くぅん…」

檸檬をベッドに押し倒すと、自身は黒いボンデージを身に纏う。

「ンフぅ…
  いつも以上に興奮する…
   檸檬… 覚悟なさい」
「あぁっ…
  今日はこれを…
    用意してきました…」

檸檬の手には、カオスから授かった鈍い輝きを秘めた黒い手袋が。

「ンフフフ…
  そんなに私を興奮させたいの…」

檸檬から黒い手袋を奪い取ると、見せつけるようにして手袋を嵌める…

檸檬はその光景を邪悪な笑みを浮かべながら見上げていた…

よしっ!
この続きはみんなの脳内で補完しよう~



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気のせいかなぁ?



先週末にインセクターの続きをお出しするつもりだったのですが

身体に異常が発生しまして、身動きできない状態に陥っていました
ようやく状態も回復し、何とか動けるようになったので…


みなさま
インセクターのお味は如何でしょうか?
少しお口に合っていない感を感じるのは xsylphyx の気のせい?
精進料理?的なテイストなのでは…
とちょこっと気になりました

やはりこちらのテイストをご希望なのでは…
と思い、こんなお料理を出してみたり





? 堕ちた天使 ?



ダークホスピタル改造外科病棟。
オペ室手術台の上に1人の女が拘束されている。
鉛色の拘束具で固定されている手足は、黒のロンググローブとロングブーツで覆われ、体にはナースが身に着ける白衣様の黒い服と、黒十字の中央にドクロをあしらったダークホスピタルの紋様が描かれたベルトが巻かれていた。


手術台の脇に立てられた点滴容器から伸びる管が首筋に繋がり、ポタポタと管の中を落ちる黒い液体を見つめる女の瞳に輝きはなく、ボソボソと何か呟いていた。

「…き…きもち…いぃ……ハィ……ワタシは……ダーク……ホスピタル…」

薄い笑いを浮かべたかと思うと、ハッと我に返り、驚いた表情に変わる。

「い、いま、私…  このクスリ…  これ以上はもう…」

黒い溶液が入っている点滴を見やる女の顔は、その薬物の所為なのか、唇と目の周囲が黒い化粧を施したように黒く染まりはじめていた。

「弱気になったらダメ! 私はナース、エンジェルナースよ! ダークホスピタルから世界を守ることが私の使命!!」

女は自分が何者なのか、自分の使命が何なのかを自身に言い聞かせるが、その意志は長くは続かない。
黒いクスリは確実に彼女の心を蝕み、彼女が少しでも気を弛めると黒い邪悪な意志に支配されていった。



数時間前、エンジェルナースはオフィス街に現れたダークホスピタルの戦闘員クランケーの迎撃に出た。
ダークホスピタルは残業で会社に残っているサラリーマンの誘拐を企てたらしく、明かりがついたビルにクランケーを送り込み、クランケーや怪人にする人間の調達を行っていた。
現場に駆けつけた4人のナースは戦闘用白衣ナーススーツを装着し、エンジェルナースに変身すると明かりがついているフロアに向かった。
戦闘員がいくら束になってもエンジェルナースの相手になるわけもなく、数分後には分かれてフロアの安全を確保していたナースダイヤ、ハート、スペードの3人が合流し、同じように任務を終えて最上階で待っているであろうナースクローバーの元に急いだ。
だが、ワンフロアになった最上階には緑のクローバーに女神が描かれたエンブレムの付いたナースキャップが落ちているだけで、ナースクローバー森山碧(もりやま みどり)の姿はどこにもなかった。



虚ろな眼で、じっと点滴容器が空になるのを見つめる碧は、邪悪に塗りつぶされてゆく意識を必死で繋ぎ止めていたが、時間の経過とともに自我を失い、邪悪に支配されることが多くなっていた。

「…ホスピタル… …ダーク… …ホスピタル…  …ダーク…ホスピタル…」
「ヌフフッ… ようやくアタシの言うことが聞けるようになったみたいだね」

いつの間に現れたのか、艶黒のボンデージファッションにコートのような黒い白衣を纏った女が、うわ言のように言葉を口にしている碧の様子を診ていた。

「…サ……サーディス…」
「違うだろう、サーディス様と呼ぶんだ! わかったかい!!」
「…ふ…ふざけないで……ワタシは…エンジェル…ナースよ… ダークホスピタルに…屈したり…しない…」

自分の顔を覗き込んでいる女、ダークホスピタル外科部長サーディスを力のない眼で睨んだ碧は、その背後で整列して立っている3体の影、黒いナースキャップにアイマスク、自分と同じ黒のナース服を纏っている女たちに眼を向けた。

「こんな物を着せて… ワタシをアレに加えるつもりでしょうけど…  そうは行かないわ…」
「チッ! これで2本目だってのにッ!!   ヌフフッ… さすがエンジェルナースだね」

サーディスが苛ついた顔で碧の首に繋がっている点滴を確認しながら、横目で碧を見やり邪悪に顔を歪ませる。

「お前たちに散々邪魔されたからね… アタシも後が無いんだよ! アタシの名誉を回復する為、エンジェルナースを倒す為にも、お前にはダークナースになってもらうよ!!」
「ダ…ダーク…ナース……それが…その人たちの…」
「ヌフフッ… そうさ、お前も着けているそれが、アタシが開発したナーススーツ  そして、お前を楽しませているこのクスリ、これがダークトリートメント 人の姿を残したまま、ダーク怪人化させる新薬なのさ」
「人を…ダーク怪人にする…クスリ…」
「ヌフフフッ… どうした、怖くなったのかい  当然のことだけど、解毒剤なんかないよ  投与された人間はアタシの命令に忠実なダーク怪人に生っちまうのさッ!」

サーディスの話を聞き、点滴容器の黒い溶液を見つめる碧の口元が小さく震える。

「クランケーやダーク怪人は移植されるダーク臓器のパルス、お前たちが言うダークオーラで、自らの位置や存在をさらしていたけどね、ダークトリートメントで怪人にされた人間は、特殊な試薬を使わない限り、発見することはおろか、特定することも出来ないんだよ   とは言え、未完成の薬なんでね ナーススーツのようなオプションを装備させないと、クランケー程度の能力でしかないけどね… ヌフフフッ」
「だ…だから…あの時…わたしが捕まったとき…ダークナースの反応が…なかったのね…」
「そうさ、ナーススーツの性能は、ナースクローバーのお前を難なく捕らえたことで証明済み  ダークトリートメントも警察や軍隊に属していた人間、正義感ではお前に負けず劣らずだった女たちが、いまはご覧の通り、アタシの従順なシモベ  ヌフフッ… 実際に打たれているお前に説明はいらなかったね」

邪悪な者に屈するものかと必死に耐える碧だったが、サーディスの話す声が頭の中に木霊し、瞳に映る妖艶な女に従わなければならない使命感が碧の心を掌握しつつあった。

「き…効いてない… こんなクスリ…効いてないわ… わたしはエンジェル…ダークホスピタルと…戦うナースよ…」

頭を振りながら抵抗の言葉をなんとか絞り出す碧。
だが焦点の定まらない虚ろな瞳が、碧の精神力が限界に近いことをあらわしていた。

「そうかいそうかい!  それじゃあ、素直になれるクスリを打ってやろうかね!!」

サーディスはダークナースが持っているトレイから青い薬剤が注入されている注射器を取り上げると、別のダークナースたちに首の点滴を取り除かせる。

「ヌフフッ… アタシに残された時間は少ないからね」

サーディスは注射器のシリンダーを押し込み、針の先から溶液を飛ばしながら、碧の首に針を近づけた。

「これはダークトリートメントの効果を促進させる薬さ これを打てば、お前の怪人化が促進され、すぐにアタシに従えるようになるだろうさ  ただ時間が無くて実験がまだだけどね ヌフフ… 失敗なら、バカになって使い物にならなくなるかもしれないけど、そのときはダーク臓器で怪人にしてやるから安心しな!」
「い…いや……や…やめて……」
「ヌフフフッ…ヤだよ  最後まで強がってみなよ! エンジェルナースなんだろッ!!」

注射針を首の血管に突き刺すと、一気にシリンダを押し込み、青い薬を碧の身体に注入した。

「い…いやァ……やめて…やめ…ウッ!」

ビクンと身体を震わせ、大きく眼を見開いた碧。
奥歯がガチガチと音をたて、口の端から白い泡と涎が滴り、突っ張られた手足がピクピク痙攣しはじめる。

「ウッ! ウゥン! ンンッ!!  ゥングン!!!」
「苦しいかい? ヌフフッ… もっと苦しみなッ!!   愉快だねぇ サイコーの気分だねぇッ! 散々邪魔してくれたウザイ、エンジェルナースがアタシのシモベになるんだからねぇッ!!」
「ン! ンッ! ンンッ!! フウンッ!!」

激しく体を揺さぶり、碧は拘束された手足を突っ張り背中を反らす。

「ヌフフッ… そろそろだね アタシが誰だかわかるね! アタシが誰で、お前の何か言ってみなッ!!」
「ンッ! ングゥゥッ! ンッ! ンンッ!!」

眼を瞑り苦しみに耐える碧の口から微かな声が漏れる。

「ンンッ! サ…サーディス… ンンンッ…あなたは…テキ… わたしの…テキ…ングッ…」
「ナッ! 何だってぇッ!!  まだ抵抗するってのかいッ!!」

サーディスはトレイの上に残っている青い薬剤が注入された注射器を荒々しく取り上げると、遠慮なしに碧の首に突き刺した。

「ギッ!」
「ヌフフッ! これでどうだい!! 壊れちまってもかまわないさッ!!  2度とそんなへらず口を叩けないようにしてやるよ!!」

さらに背中を仰け反らせた碧は口をパクパクさせるだけで、呻き声すらあげなくなった。

「ヌフフッ… どうした! 何か言ってごらんよ!!」

眼球が小刻みに動き、ときどきビクンと体を震わせて反ったままの背中をさらに仰け反らせる碧をじっとみつめるサーディスが冷たく微笑む。

「ヌフッ… ッたく、梃子摺らせるんじゃないよ!」

見開かれたままの碧の瞳が大きく広がり、中心から紅く変色しはじめると、ゆっくりと背中が元の位置に戻って行く。
大人しくベッドに横になった碧の瞳と黒目が紅く染まると、肌の色が青く、そして黒く染まりつつあった目の周りが、目元を吊り上げる黒い紋様に変わり、口元も同じように唇全体が黒く染まり、口角が吊り上げられた。

「ヌフフッ… さて今度はどうだろうねぇ  アタシが誰か言ってみな!」

腕を組み碧を見下しながら微笑むサーディスに、碧の紅い瞳が向けられた。

「…ハイ…サーディス…様です…」
「ヌフフッ… お前はアタシのなんだい?」
「ハイ ワタシはサーディス様のシモベです」
「ヌフッ ヌフフッ…」

サーディスは満足の笑みを浮かべると、自らの手で碧の拘束を解いた。
碧は機敏な動きでベッドから下りるとサーディスの前で、ダークホスピタルの基本姿勢、指先まで伸ばした右手を胸の前に水平にかざす姿勢で留まり、声高々に宣誓の奇声と言葉を口にする。

「ディッ!! ワタシはダークホスピタルに揺るがぬ忠誠を誓います ワタシはダークホスピタルに絶対の服従を誓います」

感情のない冷たい表情でサーディスをみつめる碧。

「ヌフフッ…ヌフフフッ… 気持ちイイねぇ、あのナースクローバーがいまやアタシのシモベ ダークホスピタルの怪人なんだからねぇ  ヌフフッ… これでアタシは処分されずに済むってもんだ」

サーディスは碧の顔に黒いアイマスクを装着し、黒緑色のクローバーに黒十字と銀のドクロが描かれたエンブレムが取り付けられた黒いナースキャップを被せた。

「ヌフフフッ… 今からお前はダークホスピタルの戦士、ダーククローバーだよ」
「ディッ!! ワタシはダークホスピタルのナース、ダーククローバーです」

碧がブーツの踵を鳴らし、改めてダークホスピタルの基本姿勢をとると、それに倣うように他のダークナースたちも碧の横に基本姿勢で整列する。
そのナースたちのナースキャップには黒赤色のハート、黒黄色のダイヤ、黒青色のスペードと黒十字と銀のドクロが描かれたエンブレムが取り付けられていた。

「ヌフフッ… 忌々しいエンジェルナースを抹殺  っと思っていたけど、そうだねぇ…  ナースクローバーをダーククローバーに出来たんだ 他も揃えたくなったねぇ…  ヌフッ… ヌフフッ…」

サーディスは自分のナースを眺めながら、舌先で唇を舐めサディスティックに微笑んでいた。





ようやく…


おひさしぶりですぅ?

移動中にちょこっと小料理を創作しましたぁ
ドタバタ忙しく何もおかまいできませんが、ごゆっくりしてって下さいまし。

悲しいお話になりますが
この短編モノは我がパートナーEEEPCクンの遺作となってしまいました(泣
創作中から何やら具合が悪そうだったのですが、完成した創作をメモリーカードに保存したのを最後に目を覚まさなくなりました…
帰宅途中に近所のお医者様に見て頂いたのですが、記憶を司るSSDなるパーツが壊れてしまったので、いますぐどうこうできないと…
こみ上げてくる涙をこらえ、私は……

新しいパートナー『S10e』の導入を決意しました(笑
EEEPCクンは長期保証で復活させてもらうことにし、回復後は新しいパートナーを見つける旅に出てもらう予定になってますぅ?


いや?
新しいS10eクンもなかなかいい感じですぞぉ?
この更新も彼でやっちゃってるんですよね?


といろいろあって
味見があまりできていませんから、妙な味がするかもしれませんが
とりあえず小料理をどうぞ
タイトルもまだありません…








- 短編モノ -



「ウッ…ウゥン……」

薄暗い空間。
囚われの少女が目を覚ます。

「ここは… わたし…生きて…る……そうか…わたし…ラ・バーに…捕まったんだ…」

徐々に意識が回復してきた少女は、自分が囚われの身になっていることを悟った。

「わたしが…一人になったラ・バーに油断したから………みんな…大丈夫かな…」

意識の回復と共に、身体の感覚も回復し、腕と脚に拘束感を感じた少女は自分が大の字に磔にされている事がわかった。


正義の戦士ロイヤルファイブは異界からの侵略者ラ・バーの尖兵をことごとく退け、ラ・バーとの最終決戦に挑んだ。
だが、勝ちを焦ったロイヤルスペード蒼井実里(あおい みのり)の行動で戦況は一変、ロイヤルファイブは全員が傷つき、実里はラ・バーに捕らわれてしまった。


「ラ・バーに何かされる前に、ここから逃げ出さないと…」

全身に痛みを感じるが、身動きできない程でもない。
実里は拘束から脱出しようと微かに指先を動かした。

ギシ…ギシュ…

すると何かが擦れ合うような鈍い音と、突っ張るような抵抗感を感じる。

ギュ…ギュギュ…ギシ…ギシ…

手のひらを握ったり開いたりするたびに音はし、肘と膝から先が何かでピッタリと覆われている感覚が明確になり、肘と膝を固定している黒いリングの陰の向こうに言いようのない不安を抱く。

「な…なにが…」
『クフフフ…お目覚めのようね』
「ラ・バー!!」

ラ・バーの声と共に薄暗かった空間が明るくなった。
あと一歩のところまで追い詰めたラ・バーを、自分のミスで取り逃がしたこと。
ましてや仲間にケガを負わせ、自分は囚われの身になってしまったことに、実里は羞恥と怒りの感情をあらわにする。

『クフフフ…お前のおかげで命拾いをしたわ 助けてもらったお礼をしないとね…クフフフ…』

全身が赤紫色をしているラ・バーはファッションモデルのような美しい女性の容姿をしているが、顔には金色に輝く眼しかなく、実里のことをあざ笑うかのようにその眼を細めて話をしていた。

「クッ  だったら早く、わたしを始末しなさいよ!!」

生け捕りにされて、バトルスーツはおろか衣服まで剥ぎ取られ、拘束されている姿は屈辱以外の何ものでもない。

『最初はそのつもりだったわ 手出し出来ないロイヤルファイブの前で、お前を嬲り殺しにしてやるつもりだった けど…クフフフ…』

灰色で統一された広間にすえられた玉座に腰を下ろして話をするラ・バーの手が実里に向けて振られると、実里の身体の前と後ろに、手も脚も首もない人の身体を半分に切ったような黒い物体が脚元からせり上がってきた。

「わたしが倒れても、新しいロイヤルスペードがお前の野望を打ち砕くわ!」
『クフフフ…』

不敵な笑い声をもらしたラ・バーが指をパチンと鳴らすと、現れた黒い物体が実里の身体を前後から挟み込む。

「ウッ…」

黒い物体に挟まれた身体は強く締めつけられ、呼吸もままならない。

「ウッ…ウグゥッ…カハッ」
『クフフフ…私は手駒を全て失った この世界を侵略するためには、手駒を揃え直さなければならないわ…』

しばらくすると身体を締め付ける感じが弱まり、実里はなんとか呼吸が出来るようになった。

「クハッ… ハッ… ハッ… ハッ……侵略者らしいやり…」

本当に嬲り殺しにするつもりなのかと、実里は苦渋に顔を歪めながらラ・バーを睨んだが、ふとラ・バーの言った言葉を思い出し、慌てた顔で締め付け感や突っ張るような抵抗感を感じる手足を見やった。

「ま、まさか…」

実里の手足を拘束しているリングがゆっくりと腕と脚の表面を這うように動いている。

『クフフフ…ようやく気がついたようね クフフフ…まもなくお前は永遠の命と美を手に入れることができるのよ クフフフ…それが私を助けてくれたお礼…  ただそうなったとき、お前は私の命令に忠実なラバーの戦士に生まれ変わっていると思うけど……クフフフ…』

手足に拡がる締め付ける抵抗感と身体を覆っている黒い物体を交互に見やる実里の顔が恐怖に強張る。

「い、いやよ お前の部下になんかなりたくない! 絶対にならないわ!!」

実里は激しく身体をよじり抵抗したが、腕と脚を這い上がってきた黒いリングが身体を覆う黒い物体と同化すると、露になった腕は艶のある黒い長手袋を嵌めたように、すべてが黒で覆われていた。
それは実里たちロイヤルファイヴが嫌になるほど倒してきた、ラバーソルジャーの黒い腕そのものだった。
怯えた表情で左右の腕を交互に見やった実里は、これは自分の腕ではない、自分がラバーの兵士に変えられるハズがない、そうであって欲しいと祈るような気持ちで恐る恐る指を動かした。

ギシュ…ギギシュ…

手の平を握り締めると、鈍い音と共にぴったり張り付いたゴム手袋を嵌めているような抵抗感が指先から伝わってくる。

「う、うそよ… わたしの手がソルジャーと同じに… いやよ…ラバーのソルジャーなんてい…うぐゥッ…」

突きつけられた現実に発狂寸前の実里をさらなる恐怖が襲う。
手足を覆う艶のある黒と身体の黒い物体が不気味な音を奏でながら、実里の全身をギリギリと絞めつけはじめた。

ギュギィ…ギィギュ…ギュギュ…

「グッ…カハッ……」

ギュギュ…ギュギ…ギュキュ…

見開いた眼で天を仰ぐ、実里の顔が苦痛に歪む。

「イギッ…ガハッ…」

痛みに苦しむ実里の脳裏に、ラバーソルジャーとなり仲間たちと戦う光景が浮かぶ。

「…ラバ…に…なりたく…ない………みんな…と…たたかいたく…ない…」

まさか自分がラバーの尖兵にされるなどと、考えたこともなかった実里の心は死を覚悟したときには感じなかった恐怖に支配された。

「や…め…て………ソル…ジャ……に…しない…で…」

その言葉を言い終えたとき、実里の目から涙が零れおちた。

『クフフフ…大丈夫よ お前をソルジャーになんかしないわ…』
「エッ…」
『クフフフ…私をここまで追い詰めたロイヤルファイブ 私はお前たちが優秀な戦士であることを認めているのよ その逸材をソルジャーだなんて…    クフッ…クフフフ…お前はソルジャーを指揮し、私の命令を遂行するコマンダー、そうね…コマンダー・ラバースペードに生まれ変わるのよ』
「い…いや…そんなのイヤよ…  絶対にイヤ…」

恐怖に支配されたいまの実里にロイヤルスペードとして戦っていたときの面影は微塵もない。

『クフフフ…怖がらなくても大丈夫よ まもなく外観の整形が終わるわ それが終われば、身体の中と心をラバーに作り変えてあげるわ クフフフ…』

キュ…ギュキュ…キュッ…

次第に全身の痛みが和らぎ、恐怖から逃れようともがく実里の身体からは、さっきまでとは違うラバーソルジャーたちが動くときに発していた音と同じ音が響きはじめていた。

『クフフフ…聞こえたでしょう ラバーとなった新しい身体が擦れあい奏でる音が… クフフフ…御覧なさい お前の身体は私の部下に相応しい美しいスタイルになっているわよ』

実里の身体を覆っている黒い物体がゆっくりと上にずり上がり首の辺りに集まって、作り変えられた実里の身体が露になってゆく。
型に填めて作った黒いマネキン人形のようだったラバーソルジャーとは違い、真っ黒な身体に深蒼のレオタードを着け、ブーツを履いているかのように爪先は尖り、踵にはヒールが形成された、すべてが美しい艶やかな光沢をおびている。
シルエットもラ・バーには到底及ばないが、ラ・バーに似せた胸や腰、お尻に形造られ、ヘソや陰部といったラバーには不必要な部位や器官、凹凸はシルエットを損なわないようにすべて整えられていた。

「ち…ちがう…これは…わたしの…からだじゃ…ない…………おねがい…もどして…もとに…もどして…」

実里はいつの間にか自由に動くようになっていた手で身体を探り、そこから伝わってくる感触と新しくなった表皮の擦れあう音に怯え、うわ言のように同じ言葉を繰り返していた。

「おねがい……もどして…もとに…もどして…もとに… イ、イヤァァァァァ!!  わたしはラバーになんかなりたくウンッ! モゴ…ンゴ……オゴ……」

恐怖のあまり狂ったように叫びはじめた実里の鼻と口を、首元に集まっていた黒い物体がふさいだ。

「ン! ンン!! ンーン!」
『クフフフ…あとは… クフフフ…』

黒い物体は鼻と口、そして耳から体内へと侵入し、実里をラ・バーのしもべへと変えてゆく。

「ンーン! ンー! ンン…ン……ンー…」

キュッキュッと音をたて、黒い指先で口と鼻を覆う黒い物体を剥がそうとする実里の動きが鈍くなり、瞳が身体を覆う黒と同じ色に染まる。

「ンフ……ン…ンン…ンフ…………」

体内に侵入した黒い物体は細胞と結合し、実里の臓器をラバーの内器官へと再構築する。
脳もラ・バーへの絶対忠誠を基幹にした新しい脳が構築され、そこに実里の人格、記憶と言った情報が書き込まれていった。

キュキュッ……キュ…

鼻と口が取り除かれ、黒く美しく整形された顔を特有の音を奏でながら、うっとりした目で撫でまわしはじめた実里の姿は、少しでも早くすべてを黒で覆われ、ラ・バーのしもべに生まれ変われることを待ち望んでいるように見えた。

『クフフフ…新しい身体は気に入ったかしら?』

ラ・バーの言葉が終わると実里の前に別の黒い塊が現れ、実里が迷うことなくその塊を指で摘むと、塊が解れ、残された顔の上半分を覆うマスクへと姿を変えた。

『クフフフ…最後は自分の手でおやりなさい』

うつろな目でラ・バーを見つめた実里は小さく頷くと、マスクを指先で拡げて、頭の先から顔の上半分を艶のある黒で覆い尽くしてしまった。

「!!』

マスクは吸い付くように実里の顔に張り付き、身体を覆う黒と同化すると最後の仕上げとばかりに、実里の全身を締め付けた。

キュギュッ…キュキュキュッ…キュキュ…

締め付けがおさまり、艶のある黒と深蒼にすべてを覆いつくされた実里がゆっくりと顔を上げると、真っ黒になった顔の目だった位置がゆっくりと開かれ、深蒼の眼が不気味な輝きを宿した。

『クフフフ…コマンダー・ラバースペード このラ・バーに永遠の忠誠を誓うのです』

実里はラ・バーの前に傅くと右手を水平に胸に添えて恭しく頭を垂れた。

『我があるじ、ラ・バー様 このラバースペード、ラ・バー様に永遠の忠節をお誓い致します 何なりとお申し付け下さいませ』

新しく構築された発声器官で忠誠の宣誓を唱えた実里は、傅いたままラ・バーを見上げ、深蒼の眼を細めてラ・バーのしもべとなった悦びを表現した。

『クフフフ…この世界を我が手中に… お前の働きには期待していますよ』

ラ・バーが金色の眼を細めると、実里の前の床から見覚えのある白いブレスレットがせり上がってきた。

『これは…ロイヤルチェンジャー』

ラバースペードとなった今、自分には必要ないロイヤルファイブの変身ブレスレットに戸惑う実里がラ・バーを見上げると、ラ・バーはさらに眼を細めた。

『クフフフ…ロイヤルファイブを我がしもべに…』

ラ・バーの意図を理解した実里がロイヤルチェンジャーを取り、手首に装着する。

『ハッ! かしこまりました ラ・バー様』

実里の全身に無数の波紋が生まれ、その中心から血の気のない白い肌が広がり、ほどなく蒼井実里への擬態が完了した。

『わたしはロイヤルスペード、蒼井実里  ウフフフ…』

深蒼のアイラインとシャドーで微かに吊り上げられた目元が実里であって実里でないことをしるしていた。

「ですがラ・バー様、わたしがいきなり戻っては疑われる可能性があります」
『クフフフ…まずはロイヤルファイブに関係のある人間を捕らえて来るのです その人間をソルジャーに改造し、お前が私に捕らえられていることを知らせる使者として送り込むのです』

ラ・バー様の言葉を聴き終えた実里が口角を吊り上げて邪悪に微笑んだ。

「かしこまりました ラ・バー様  利用価値が高く、奴らに信頼もある人間に心当たりがあります」
『クフフフ…それはお前に任せます』

ラ・バーが目を細めて頷くと、実里は一礼して行動を開始した。




GWも明日まで…



5月最初の更新は大変お世話になっております
『Kiss in the dark』様、180万ヒット記念の
素敵なイラストを拝見して創作したお料理『鬼の鎧』です
イラストから妄想するイメージと随分違うなぁと感じる創作ですが
管理人のg-than様にお許しをいただき当店に並べさせて頂きました





鬼の鎧


「ひとおもいに…やりなさいよ…」

両手を鎖で縛られ、天井からぶら下げられている少女が声をもらす。
彼女の名は霧島澄夏(きりしま すみか)。
特殊パワースーツを装着し、修羅率いる魔鬼軍団と戦うパワードポリスの隊員。
街に現れた魔鬼軍団を殲滅するため、彼女は仲間と共に出動したが、女魔鬼般若の卑劣なワナにかかり、とらわれの身となっていた。

「ギーッ! 殺さない程度に可愛がれと新しい幹部様のご命令だ」
「新しい…幹アグッ…」

刺のある棍棒でお腹を殴打された澄夏がくの字に折れ、口から血の混ざった嘔吐物を吐き出す澄夏の眼が空中を彷徨う。

「カハッ…」
「ギーッ! オネンネするにはまだまだ早いぞ オラッ!」

汚れた臭い水を頭からかけられ無理やり意識を引き戻される。

「…せ… はや…く……ろせ…」

澄夏が装着しているシルバーメタリックのパワースーツは部分部分が破壊され、あどけない少女の顔が澱んだ外気に晒されていた。

「ギーッ! 同じことしか言えねぇのか! オラッ! オラッ!!」
「ゲフッ ガハッ」

黒ずんだ緑の肌をした餓鬼は積年の恨みを晴らすかのように澄夏を殴り続けた。




どれくらいの時間が過ぎただろう。
ぐったりと首をうな垂れている澄夏のまわりに餓鬼たちの姿はない。
殴り続けられた澄夏のパワースーツと生命維持装置を兼ねたアンダーウェアは跡形もなく破壊され、傷ついた白い肌が露出していた。

「…いまのうちに…なんとか…」

拘束されている手を力なく動かし、脱出を試みる澄夏。

「アッつぅ…」

少し体を動かしただけで爪先から脳天まで激痛が走る。

「クッ… 痛くて…上手くいかない…」

痛みを堪えて体得している脱出術を試みながら、まだ輝きを失っていない眼を執拗に傷つけられた胸元に向けると蝋燭の炎で照らされた肌が青黒く変色していた。

「…乙女の柔肌に…こんなアザを… …アイツら…絶対許さないから…」
「なんだ、元気じゃないか オマエを生け捕りにしたのは正解だったようだね」

暗闇から蝋燭の明かりの中に入ってきた人影が愉快そうに話す。

「般若! 面白いことしてくれるじゃない!! それにその姿、それって」

目の前に現れた女魔鬼般若はこれまでと違う身なり、漆黒の衣と鎧を着けた武者姿で数体の餓鬼を引き連れていた。

「ああその通りさ 黒鉄の羅刹様の鎧と衣さ  修羅様が羅刹様にとどめを刺した敵を生け捕りにした功を認めて下さってね」
「まさかさっき餓鬼たちが言ってた新しい幹部って」
「そうさ それはわたし、黒鉄の羅刹のことだよ」
「あなたが羅刹?幹部になるって? アハハッ あなた程度の魔鬼が幹部だなんて、わたしたちが魔鬼軍団を壊滅させる日が近いってことね」

余裕の笑顔を見せた澄夏だったが、不敵な笑みを浮かべている羅刹の後ろに控えている餓鬼たちに視線を移すと笑顔が消えた。

「まさかそれをわたしに」
「これから何をされるのか分かったようだね」
「ッそ! どうして外れないのよ!」

慌てた様子で拘束から逃れようとしている澄夏を羅刹があざ笑う。

「修羅様から褒美としてオマエも頂いたのさ これからは…」

邪悪な笑みを浮かべた羅刹が餓鬼たちに合図を送ると澄夏の拘束が解かれ、自由を取り戻したかのように思われた。
だが、床の上に下ろされた澄夏の体は気を付けをしたまま動くことが出来ない。

「!? か、体が…」
「ここは修羅様の悪気で満たされた世界  傷口から浸入した悪気はオマエの自由を奪うのさ」
「な、なんですって…」

澄夏が恐怖に顔を引き攣らせると、餓鬼たちが彼女の腕を掴んで水平に上げさせ、持っていたグローブを装着する。
肘までを覆うグローブを両手に装着されると、次は足を持ち上げられ、膝までのブーツを履かされた。

「や、やめなさい こんな物を着せられても、わたしは」

羅刹はニヤリと口角を吊り上げ、自分と澄夏の間の空間に彼女の姿を映し出す。
裸でグローブとブーツだけを着けた自分の姿を見せられた澄夏が大きく目を見開いた。
グローブとブーツを着けられた腕と足の肌が、目の前で腕を組み邪悪に微笑んでいる羅刹と同じ色に変化し、瞬く間に全身の肌が青白く染まる。

「や、やだ なによ…これ…」
「言わなくても分かってるだろうけど、餓鬼どもがオマエに着けているのは般若だったわたしの鎧さ  棄てるのも何だからね 修羅様にお願いして、悪気を高めて頂いたのさ  オマエを魔鬼に、般若にするためにね」
「そ、そんな… わたしが魔鬼になるなんて…」
「どうだい 自分の躯に悪気が染込んでゆく、魔鬼に変わってゆく感じは」

澄夏の青白い躯に胸当や腰当が装着されると肌の傷が癒され、腕と顔を除く全てが艶のある青味をおびた妖艶な躯に変わった。

「い、いや… 魔鬼なんて…いやよ…」

身に着けられてゆく鎧を脱ぎ去りたかったが、腕はおろか指先すら動かすことが出来ない。
羅刹は餓鬼が持っていた肩当とマントを奪い取ると自らの手で澄夏に着せる。

「これからはオマエが般若となり、わたしの側近として働くのさ」
「いや… 絶対いや… 般若なんかになりたくない… 殺して…   殺しなさいよ!!」
「その顔、いいじゃないか 魔鬼らしくなってきたよ  あとはこの兜だけだね」

餓鬼から兜を受け取りながら嘲笑う羅刹を鬼のような形相で睨む澄夏の頭に、彼女には大きすぎるツノの生えた不気味な兜が被されると、それはまるで生きているかのように澄夏の頭のサイズに縮み、ギリギリと頭を絞めつけた。

「イギッ…グギャアァァッ!」

兜から頭の中に侵入してくる悪気と絞めつけられる激痛に目を見開いて絶叫する澄夏。
羅刹は変化してゆく澄夏の様子を楽しそうに見つめていた。

「ウグゥ… フグゥ… ングゥゥ!!」

うめき声をあげる澄夏の唇が鬱血したように青黒くなり、見開かれた瞳が小さくなる。

「脳ミソに悪気が染み渡ったようだね  オイ、躯を動かしてごらんよ」
「…コロ…ス… …コロス… ニンゲンコロス…」

澄夏の指先がピクリと動き、グローブを嵌められた手をゆっくりと握り締めると、白目だけになった眼の中心に金色の輝きが生まれ、それは次第に大きくなると新しい金色の瞳に変わった。

「殺す… 人間どもを皆殺しにする…  フフッ…新鮮な血…肉が食べたい…」

マントを広げて目の前に映し出されている自分の姿をうっとりと眺める澄夏。

「その前にやることがあるだろう」

自分の姿が消えて羅刹の姿が現れると澄夏は流れるような動きで片膝を折り跪いた。

「黒鉄の羅刹様 何なりとお申し付け下さい」
「ん? オマエは誰だったかね」
「ら、羅刹様 いま… いえ… 羅刹様のご期待に副える働きが出来ないが故のこと… 申し訳ございません 羅刹様  いましばらく、わたくしめに羅刹様の忠臣 魔鬼般若と名乗る事をお許しくださいませ」

魔鬼般若となった澄夏を試し、満足の笑みを浮かべる羅刹。

「冗談だ 貴様の働きには期待している  これからもこの羅刹様に仕えよ」
「勿体無きお言葉… この般若、命を賭して羅刹様に仕え致します  次こそ必ず、羅刹様に仇なす者ども血祭りに上げてごらんにいれます」

魔鬼般若に変えられた澄夏が仲間だった者たちを葬ることを誓うと、羅刹は口角を吊り上げ邪悪な笑みで答えた。


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