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シビレましたぁ…同化されましたぁ…最終夜



お待たせしました
いよいよ最終夜です
特撮番組でヒロインがこんな堕ち方してくれたらもう…
ってわたしがここで興奮しても仕方ないですよねww

素晴らしいご馳走を用意して下さったサワキ様に感謝致します
ホントにありがとうございました。
みなさま、ご感想などをよろしくお願い致しま?す

サワキ様作『 Hacker 2 』 最終夜
どうぞごゆっくり召し上がり下さい。





Hacker 2


 瞼を開いたとき、平井和希は目の裏側を何かが刺すような感覚がした。光はない。目の前は見えて
いる。暗い部屋だ。身体を起こそうとする。だが、掴むところがない。浮いているような感覚、いや
現に浮いている。
「ここは……」
 口に出す言葉が、内耳に聞こえる。自分はどうなったのか、身体を動かす。頭痛がする。闇、暗闇
、虚無、和希は息を呑む。彼女を押さえつけていた飛鳥のひんやりとした肌を思い出す。
「わたしと…したことが……」
 涙は出ない。悲しみもない。恐怖もない。だが、敵に捕らえられたらしいこと、この異常な事態は
敵の拠点のどこかであろうこと、それだけはなんとなく解った。
<――ご明答、シンクロイエロー>
「誰?!……あ、そ、その声は……!?」
<そうさね…私は、メローネフ…シンクロイエロー、キング様からあなたの『措置』をご命令されて
いるのさ…>
 声は笑っている。愉快でたまらないのだろう。その声は、ハッカーの女幹部メローネフ――黒髪の
悪魔だった。
「じゃあ、ここは…ハッカーの基地ってことね…」
<そう…ここは、戦艦クロンシュタットさね…>
 メローネフの姿が見えないが、その表情は見えた。戦艦クロンシュタット――敵の地球侵攻艦隊の
主力艦の一隻だった。戦艦ヴァツーチンとクロンシュタット、それを支援する合計500隻の艦隊を
軌道上に展開させたハッカーは、それで地球人の宇宙進出を拒んでいる。
「そう? ありがとう…わざわざ、私が一番行きたい場所までつれて来てくれて……」
<アハハハハハッ!>不意に耳障りな笑い声がした。目の前に、メローネフの姿が投射されて現れた
。〈シンクロイエロー、あなたは馬鹿さね…〉
 そして、画面がズームアウトする。振り返り様にカメラを見つめていたメローネフは、目の前を向
き直ると、顔を下に向けた。
「ウソッ……」
 そこにあるのは、殺風景な船室だった。丸い窓が壁にはまり、地球が見えている。その光にメロー
ネフの髪がきらきらと光沢を与えていた。細く鋭い鶴のような横顔が綻び、そこにあるものを手に取
り吸い始めた。
「ありえない……」
 メローネフは和希に見せ付けるようにそれを吸った。そこにあるのは、シンクロイエロー――薄汚
れたシンクロスーツに身を包んだシンクロナイツのリーダーが、マスクを剥がされ意識を失って横た
わっている。メローネフは、晒されている平井和希の唇を音を立てて吸っている。
<んんっ…>
 『和希』の顔が、眉間に皺を寄せ歪ませていた。
「あなた、どういうこと…メローネフ…」
 呆然と言葉を続ける和希へ見せ付けるように、じっくりと吸い尽くされていく。やがて、お互いの
唇が濡れていた。メローネフは顔を上げると、そこにいる『和希』の手を取った。
<驚いたでしょう……これは紛れもないあなた…そして、あなたもまぎれもないあなた……だけど、
このシンクロイエローは外見しかなくて、今のあなたには内面しかないのさ……>

 ――平井和希が気を失っている間、ハッカーは彼女の身体から彼女の記憶だけを取り出し、コンピ
ューターに格納した。メローネフの話を要約するとそういうことらしかった。
 和希は瞬きをした。今の自分は、データしかないということ。そんなはずはない。身体は冷たくて
、頭痛はして、感覚が生きている。なのに、データでしかないという……

「それで…さっさと、私の身体を使って、悪事でも働いたらどうなのかしら?」
 和希は言う。殺すなら殺すでさっさとすればいいのだ。なのに、幹部自らでデータ化された人間と
話をしている。メローネフは何かを企んでいる。
<そうさね…あたいは…さっさとあなたを倒したいのさ…だけど、ハッカーキング様が、あなたに一
目置いているのさ……>
 メローネフが彼女のほうを覗き込んでいる。
「一目……?」
〈キング様は、頭の悪い奴は大嫌いなのさね。だから、地球人は大嫌いなのさ。だけど、シンクロナ
イツのリーダーのあなただけは……協力に応じるなら、いかして上げてもいいって言っているのさね〉
「へぇ……」
 『仲間になるぐらいなら死んだほうがマシよ!』とでも言えたら、どんなにいいだろう。事実、和
希もその言葉を言いかけた。だが、ここは完全に敵の手中、このままムダに反抗すれば、死ぬだけだ
った……

<まあ、仲間になれば、あたいの部下として大切にしてあげるさね>
 メローネフは言いながら、和希の身体を撫でている。その口調は倒したいという言葉よりも、本音
を垣間見させた。これまで、剣を交え銃を撃ち合い、シンクロイエローは勝ち続けてきた――そのイ
エローを手ごまに並べることができる――メローネフのサディスティックな横顔に、和希は吐き気を
覚えた。
 口の中に苦いものを感じさせた。
<迷うのは解るさね…だから、考える時間を与えるさね>
 メローネフは向き直ると言った。手の中に四角い箱があり、画面のほうへ手を寄せると、そこから
メローネフの大きな手が現れた。その中に握られた四角い箱が、和希の目の前に置かれる。それはシ
ルバーの金属の下地をむき出しにしたケースだった。その頂点に、ボタンが据え付けられている。ボ
タンは赤い色だった。
<それをおしたら、あなたはあたいの仲間になれるさね>
「やけに親切じゃない? 飛鳥は…ピンクはきっと簡単に洗脳したんでしょう? 有無をいわさず―
―」
<よく解ってるさね>
 和希は思わず微笑んだ。皮肉っぽい顔をしていると自分でも解った。
「たまには私だって、あの子を意のままに動かしたいと思うもの……」
 メローネフは顔を上げた。にっこりと微笑んで画面が消えた。
<考え終わったら好きにするさね。シンクロイエロー? あなたなら、舌を噛み千切って死ぬことぐ
らい簡単さね?>
 それ以上、敵は応えなかった。和希は瞬きをした。暗闇は少しだけ明るくなったように思える。身
体は、黒いスーツに包まれている。戦闘員のようだ。どこかからか光がさして、床が海面のようにキ
ラキラと光を放っている。
 床はボタンまで続いていた。和希はそれを見つめた。足を進めた。スーツは窮屈だった。笑った。
いやだったら舌を噛み千切れ、メローネフは言った。だが、今の自分が、本当にデータなら舌を噛み
切ることに、どんな意味があるのだろう。
<言い忘れてたさ>
 声に和希は振り返らなかった。
<ほっておいても、そのスーツの内部に塗られた液体が、あなたの体温に溶けて――あとは定番の展
開さね>
 ボタンを見ながら、シンクロイエローは微笑んでいる。
 本当にわたしはデータなんだろうか。手を目の前にかざしてみた。胸を締め付けられるような感覚。
これまでの経験が、簡単にわたしを動揺させてくれない。わたしはリーダー。シンクロナイツのリー
ダー、だから、死ぬことは許されない。
 生きていれば、きっとチャンスを掴むことができる。汗を欠いていた。体温があがっているのだろ
うか、動悸がする。これで、さっさとその『液体』とやらは溶けてしまうのだろうか。敵を倒す。だ
けど、今は無理だ。目を瞑った。闇が目の前に広がった。身体を包むスーツの裏側で溶けていくバタ
ーのような何かの感覚を覚えるのは、これはウソなんだろうか。本物のシンクロイエローはメローネ
フにいたずらされて、クロンシュタットの船室で寝ているのだろうか――そして、わたしはコンピュ
ーターに格納されたデータなんだろうか、本当に。
「でも、結局は、死ねって命令は出てないわね……」
 シンクロイエロー・平井和希は瞼を開けた。わたしはシンクロナイツのリーダー、左近博士の命令
権に属している。だから、博士が死ねって命令しなければ死ねない。ピンクや、レッドやブルーに、
しきりに『リーダーとしての命令です』と告げるのは、命令が無ければ勝手な判断を下してはならな
いからだ。
 ボタンはそこにあり、プラスティックの光沢を放っていた。指をあて、奥に押し込むと中にセット
されたバネの感触がした。奥まで押し込んでカチという音がした。
 出し抜けに輝いたスーツは、ゴキブリの羽根のように見えた。そこに見えたのは何かの幾何学的模
様、その奥に見えたのは01という数字の羅列。それは意味を成さない数字に見えた。だけど、和希
には、それが意味のある数字だと解った。
「ウッ……やめて…」
 和希は解った。平井和希は生かされる。だけど、もう正義ではいられない。頭が、犯されていく。

 軽いめまいと吐き気、何かが脳に満ちている。それはメローネフの声に似ていたが違っていた。流
れ込んでくるのは溶岩のような感じを覚えさせた。気持ち悪い誰か助けて。手を伸ばして、目の前を
見ると、メローネフがいた。
「あなたほどの意思の強い人なら、きっといい部下として使えるさね」
 照明を受けて、その身体はカメレオンのように見えた。爬虫類そのものだが、気持ちよさよりも綺
麗さを感じさせる。その背後に並んでいるのはコンピューター。そこは黒いが暗闇ではなかった。黒
いスーツはなくなり、シンクロスーツをまとっていた。身体に目をやると、幾何学的な模様と、01
01という『言葉』が透けて見えた。
「ふふふふっ……」
 わたしは正義なんだ…和希は心の中で呟く――そう、わたしは正義。わたしは、ハッカーキング様
に仕えて、シンクロナイツを滅ぼすことを正しい義務と考える。わたしは正義のヒロインだ…
 メローネフは彼女の肩に手を当てた。ゆっくりと歩くように促す。身体は窮屈だった。肉体とはこ
んなに不安定なもので、ぎこちないものだとは解らなかった。
「さあ、そろそろさね……こっちさね」
 メローネフと共に隣の部屋へ抜けた。そこには大量の戦闘員が詰めていた。コンピューターが暗闇
に並んでいて、部屋中が冷気と空調の騒々しい音に包まれている。
「ここは中央作戦室、イエロー、見るがいいね」
「はい、メローネフ様」
 そこは大型のデスクになっていて、下から照明があてられている。そこに地図がおかれ、びっしり
と線や文字が書き込まれている。
「戦闘用意!」
 出し抜けによく通る声で号令をかけたのは、ハッカーの幹部メストーフだ。
 地図には、クロンシュタットの位置がポリゴンで投影されている。その地図には見覚えがあった。

シンクロベースのあるあたりの地図だ。
「メローネフ様…リーダーはもう……?」
 声に、和希は顔を上げた。ピンクとシルバーを基調にしたスーツに身を包んでいるのは、ハッカー
ピンク、結城飛鳥だった。目の周りが黒くなっていて、顔が青い。
「そうさね、でも、リーダーはあたいさね」
「主砲、交互射撃にて、撃ちー方、始め! てーっ!」
 メストーフは彼女らの会話など気にしない様子で声を上げる。どすんと腹に響くような音響が室内
に聞こえ、振動が伝わってくる。顔を上げた和希の目の前に大きなディスプレイがあり、目の前にク
ロンシュタットの主砲が火を噴いていて、その先には何の変哲もないビルに見せかけたシンクロベー
スの建物があった。
「リーダー…いえ、イエロー驚かなくていいわ。わたしが、メローネフ様にシンクロベースの場所を
教えて、破壊するようにお願いしたんだから」
 飛鳥は言った。和希は彼女を向き直り、その目を見た。数度瞬きをした。不信そうな目つきに飛鳥
がかわるのがわかる。
「メローネフ様、イエローはまだ……」
「ハッカーピンク」平井和希は言った。「よくやったわ。これまでわたしたちは間違えた正義の為に
、ハッカーキング様に逆らってきたけど、それは全て間違いだったわね。ごめんなさい、あなたを指
揮してきたものとして、あなたを間違え導いたことは申し訳なく思うわ」ドキドキしている、和希は
瞬きをした。「わたし……わたしは、ハッカーイエロー。全知全能のハッカーキング様に忠誠を誓う
もの同士、今日から一緒に、地球を支配する為に手を取り合っていくわ。これからは上下無く、メロ
ーネフ様の下で仲良くやりましょう!」
 ハッカーイエローは地図の上に腕を差し出した。ハッカーピンクはややあったあと、その手を取っ
た。
「堅物らしい挨拶だけど、まあいいわ。わたしも、これまでワガママばかりいってごめんね、リー…
…ハッカーイエロー」
「主砲、目標に命中! 次より斉射に切り替え! 虫一匹逃すな!」
 メローネフは笑った。手を取り合うイエローとピンクの向こう側で、ディスプレイの中のシンクロ
ベースは煙を巻き上げながら崩れようとしている。メストーフと戦闘員が命令を繰り返して異様な雰
囲気に包まれている作戦室の中で、2人の女が手をつないでいる。
「さあさね、イエロー、ピンク? 基地壊したら、どうやって、レッドとブルーを捕まえるさね?」



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シビレましたぁ…同化されましたぁ…第2夜



ハッカーピンクとなった飛鳥が和希の前に…
ってわたしが話をしても、だぁ?れも聞いてくれないでしょうから
すぐにお料理をお出しします。

サワキ様作『 Hacker 2 』 弟2夜です
どうぞごゆっくり召し上がり下さい。





Hacker 2


<シンクロレッド、シンクロブルーはまもなくこの場所を脱出する>
 ピンクのマスクのバイザーに『目』が現れた。それは金色をした瞳だった。それは、飛鳥の目ではな
かった。一つ目のそれは、そこに映写されたフィルムのように見えた。
「おまえは……」
<レッドが、また幸運にもハッカー獣の額にある制御システムを破壊し、装甲車の砲に装填された砲弾
が破裂する……あまりの爆発にお前らが分析の為に欲するハッカーパーツどころか、ネジ一本まともに
回収はできないだろうがな……>
 空気が震えた。地震にも似ていた。背後に立ち上る炎の柱とキノコ型に膨らむ黒煙の様がその空気の
流れだけで解った。ミシミシとあたりが不気味に振動すると、あたりの建物にはめられたガラスという
ガラスが音を立ててはずれ、地面に向けて落下した。
 その破片はシンクロイエローとピンクの間にも降り注いだ。シンクロスーツをまとっていたから、そ
んなものでダメージはない。和希は左手を右腕から離した。目が、一層光を放っているように見える。

「全ては、筋書き通りってことかしら? 飛鳥が戦いのあと帰りたがったのは、今日、中間テストがあ
ったからではなくて、メディカルチェックを回避するための言い訳ってことになるわよね……?」
<ご明答…頭脳明晰なシンクロナイツのリーダーは話が早い…この小娘など、騒ぐだけで会話にすらな
らなかったというのに…>
「あなたは誰? 飛鳥をどうしたの?」
 金色の目は、瞬きすらしなかった。
<ハハハハッ…私はハッカーキング、ハッカーを統べるもの。結城飛鳥は私の部品となったのだよ。部
品だ…シンクロイエロー?>
「何を考えているの?」和希は己を律した。飛鳥を奪った恐ろしい敵だ。ここで、感情に逸り勝負を挑
んでも、勝ち目はない。
<何を…か…私にそんなことを聞いたものは初めてだよ…ハハハッ…>
「誤魔化さないで、質問ぐらい答えたら? 飛鳥を取って、私たちの機密情報ぐらい手に入れたでしょ
う? 基地でも、なんでもさっさとハッキングしてしまえば……」
 痛みはいつのまにか消えていた。燃え立つような感情の高ぶりを、和希は感じた。これまでになかっ
た感覚だった。シンクロナイツのリーダーとして、このような事態を考えていなかったわけではない。

<無用な殺傷は好まん…貴様ら人類を滅ぼす等、私の手を持ってすれば容易いこと……滅ぼさず、利用
する…これぞ、高位にある生命体の為せる業よ……>
 金色の目は、燃えるような眼光のまま、徐々に銀色へと変容していく。
「あなたの言ってることって、結局侵略者の論理じゃない?」
<貴様と、歴史について論議をするつもりはない。一先ずは、シンクロイエロー、平井和希……このシ
ンクロナイツ最大の危機に為さなければならないことは解っておるだろう…>
 言いながら、そのバイザーの瞳は徐々に薄くなり始めていた。そして、ピンクはゆっくりと戦闘体勢
に構えなおし始める。
<あとは任せたぞ、ハッカーピンク>
「仰せのままに……」
 和希は飛鳥の声に我にかえる。無意識のまま、和希は左手にソードを構えていた。ハッカーキングが
言ったのはつまり、ピンクを――結城飛鳥を殺さなければ、この汚染はシンクロナイツ全員に広まると
いうことだ。
「どっちも助ける、なんてことができればいいけど……」
 そんなことができるのは、ドラマの世界だけだということを和希も知っている。目の前にいる結城飛
鳥は、敵となったが、大切な仲間でもある。前の平井和希なら、それでも殺めることはできた。だけど
、シンクロナイツとして死線を越え、面倒を見てきたこの年下の女性を…和希は首を振る。殺めること
など出来はしなかった。
「わたしからいくわよ!!」
 まっすぐ突っ込んでくる飛鳥を、上方へ跳躍をして回避する。発射された銃弾の弾道を読んで避ける
。実力の差は歴然としている。だからこそ、避け続けることは簡単――だけど、それでは何の解決にも
ならない。
「とう!」
 銃をソードに構えなおしたピンクが飛び出すと、ビルを左右に足場としながら、距離を詰めてきた。
落下地点から数歩引く。前へ出る飛鳥が振り下ろしたソードが青白い光を放っている。鋭い音。ソード
とソードがぶつかり火花を散らす。左へ避け、背後に立つ。跳躍して、一気に距離を引き離す。
「こうなったら…それしかない…」
 ソードを仕舞い、ホルスターから銃を抜いた。催涙弾を選択する。一瞬、迷った。眠らせても、シン
クロベースに連れて行くのは…
「アッ!?」
 手元で爆発が起こった。銃が銃身からソフトクリームのような形に変形してしまっている。軽い痺れ
が手に広がっている。顔を上げると、飛鳥が銃をこちらに構えて、その銃口から白煙があがっていた。

「させないわよ……」
「しまった!」
 焦り、いつも感じる焦りよりもっと本能的なものだった。飛鳥をいかなる形でも攻撃したくなかった

「ほーら、どこみてんのよ!!」
「あああっ!?」
 目の前からかき消すように消えた飛鳥の影が、背後に現れて腕をとった。前へ突き動かされ、壁に身
体が当たり、埃が舞った。
「あ、あなた…っ……」
 止んだ腕の痛みがぶり返し、マスクの中で頭をしたたかに打ち付けた。負傷で判断力が鈍ったのか、
飛鳥を攻撃できない気の迷いか、飛鳥の力が増してるか、一瞬光が差すと、再びシンクロイエローの身
体が壁へとぶち当たり、そこに亀裂をつくった。
「あくぅっ…」
 口の中に血のニオイがする。どこか切った。首を動かすと、飛鳥の腕が見えた。基盤のような模様、
ハッカーの手に落ちたシンクロスーツ……
「リーダー、それで終わりですかあ?」
「飛鳥、やめなさい……」
 無駄だとわかっている言葉を口にするしかない。身体を打ちつけ、痺れを感じた。離れようともがく
腕は蛇のようにまとわりついていた。
「リーダー、『戦場はあなたが若いかどうかなんて考えない』とかなんとか、訓練でいっちゃって、わ
たしのこと散々痛めつけたのに、痛めつけられちゃってますね?」
 身体が、密着して壁に押し付けられていた。後ろにキングがハッカーピンクと呼んだ飛鳥の身体があ
り、冷気を感じさせた。
「それは、あなたの為に……」
「わたしの為でも、リーダーの為でも、どっちでもいいんですがー」
 言葉が止む。和希は振り返って、そのマスクを見つめた。。
「これをリーダーにあげれば、私はキング様から授かった命令を達成するので、なんでもいいんですけ
どね」
 飛鳥のグローブが手にしているのは、羊羹のような黒い物体だった。それを彼女は見せ付けるように
示していた。
「パーツね……?」
「うーん、ちょっと違いますけど、まあそんなところですね。じゃあちょっと、息を吸ってもらえます
か? ちょっと苦しいと思うので……」
「や、やめなさい!?」
 飛鳥の身体よりもそれはずっと冷たかった。脊髄のあるあたりに当てられた黒い物体が痺れた感じを
ずっと強くさせて、脳へ向って電撃が入ってきた。身体の力が抜ける感覚に、和希は瞼が厚くなり、そ
れが涙だということに気づくまでやや時間がかかった。
 いつのまにか、飛鳥の手が和希の胸にあてられている。その手は揉むわけでも、守るわけでもなく、
そこにある。飛鳥の反対の手は負傷した傷口にあり、冷たい手がそこだけふっと暖かくなる感覚がする

 首を振った。そんな筈はなかった。だが、痛みは癒えて、身体が軽くなる感じがした。軽くなって、
首を上に向けると、そこには黒いものが見えた。
 漆黒の闇がそこにあった。目を丸く、眉間に皺を寄せた。闇は徐々に降りてきて、和希を包み込んで
いく。
「イヤ!」
 平井和希は確かにそう叫んだ。意識はそこで潰えた。マスクの中で、びくびくと唇や瞼が動いていた
が、それもやがて止まり、安静な表情へと変化していく。
「案外簡単だったかなぁ……」
 どさっとシンクロイエローはその場に倒れこんでしまう。真っ黒で光沢をもった粘質の液体に覆われ
た身体がそこに横たわっている。ハッカーピンクは愉快な顔をして、それを見ていた。
 イエローの背中に出来た瘤――コントロール装置から這い出た液体はレオタード上にその表面に広が
り、生きた生き物のように蠢き、シンクロイエローを包み込んでいく。そのスーツの中で、平井和希は
生きている。
「さあて…はやく連れて行かないと、レッドとブルー、あのバカ博士に怪しまれちゃう……」
 ぐったりしたまま動かないイエローを、ピンクは軽々と持ち上げると、くすくすと微笑んだ――この
正義感の塊のオバサン、これまでわたしのこと散々コケにしてくれたわよね――
「だけど、全知全能の創造神であるハッカーキング様に、背筋伸ばして忠誠を誓っちゃうのよね――あ
ーもう本当に、バッカみたい」



シビレましたぁ…同化されましたぁ…第1夜



相互リンクして頂いております
戦隊を中心とした特撮ヒロインのイラストやSSを掲載されている
『THE ICBM』の管理人サワキ様から、なんとぉ!!
わたくし xsylphyx の創作『Hacker』の続きになるSSを頂きましたぁ!!
さすが多くのヒロインモノSSをお書きになられているサワキ様 凄いです。
ご馳走です。堪能させて頂きました。
オススメです是非食べて下さい。残さず食べて下さい。ゼッタイ食べて下さい。
食後に一言お願いしますね

ホントは一度に全部、食べて頂きたいのですが
じっくりと時間をかけてみなさんを悪のシモベに…
って冗談ですけどw 3回に分けて掲載させて頂きます
本日はその弟1夜

サワキ様作『 Hacker 2 』 弟1夜 どうぞごゆっくり召し上がり下さい。





Hacker 2


「飛鳥クン、異常はないかね?」

 指令室に顔を出した結城飛鳥を見るなり、左近はきいた。
「はい、左近博士、昨日はワガママを言ってしまいすいませんでした。――みなさんは?」
「ああ、みんなは十五時から戦闘訓練だ。それより――」
 壁に埋め込まれた電子レンジのような扉を博士が開けると、収められていた変身ブレスを取り出す。

「はい、昨日のうちに、システムチェックと破損箇所の修復を行っておいたから、もう使える筈だ」
「わかりました。私の為にわざわざ申し訳ありません」
 深々とお辞儀をする飛鳥に、左近はハンカチで額を拭く。

「いや、いつも君たちを危険な目に遭わせているんだ。これぐらいのことはなんでもない。それより、
何にもなかったな。昨日からは?」
「はい」顔を上げると、ブレスを受け取り少し笑顔を浮かべて応える。「まったく問題ありません、ぴ
んぴんしてますよ!」
「そうか、じゃあ、今日のうちに、メディカルチェックを――」
 言いかけた左近の言葉を遮るように、壁にすえつけられた赤色灯が回転を始めた。

 中央警戒管制システム情報――ハッカーの出現と、出現場所についての情報が、いつもと同じ調子の
電子音声で流れ、ブレスを手にした飛鳥が弾かれるように指令室から出て行った。

「あなたは出せないわ」
 平井和希は飛鳥の姿を見るなり告げた。
「大丈夫です、リーダー」
 現場近くの雑居ビルと雑居ビルの谷間――訓練を中断して出動した三人と、現場で合流した飛鳥――

「あなたー―飛鳥ちゃん、あなたは昨日敵にスーツを乗っ取られて操られたわ。あのときはレッドが間
一髪食い止めたから良かったようなものの……」
「大丈夫です」飛鳥は平静そのものといった口調で言った。
 マスクに包まれた顔は見えないが、その精悍なデザイン以上に冴えた表情をしていることだろうと、
和希は見て取った。
「私は、正常です。左近博士も、ブレスのメンテナンスは完了したと言っていました。何も問題ありま
せん」
「それなら」話が終わらないうちに、和希は返した。「あなたには予備戦力として、ここに待機しても
らいます。私とレッドとブルーで出て、必要に応じてあなたには出動して貰います。必要時期について
は、私が命令する時とします。待機中に、あなたの持つ権限はに自衛権の行使のみ」
 そう告げると、背後に待機するレッド、ブルーに目配せを送る。返してピンクを見つめた。
「これは、シンクロイエロー、シンクロナイツのリーダーとしての命令です――さあ、状況開始!」

 言い切って、物陰から出て行く。長い槍を手にした彼女は、眉をひそめていた。飛鳥の話し方が何か
変だった。あの子はもっと、舌足らずな物言いをする筈なのに――いつもはもっと、こんな命令を下す
と、感情的に声をあげる筈なのに――今日は、命令に対して、ゆっくりと頷いただけだった。



 アスファルトの地面がぶるぶると震えている。空気を叩く音が周囲のビルを揺らし、一部の窓にヒビ
を入れている。振動に、目の前のビルに上から下へ据え付けられた排水パイプが外れて汚水が地面に落
ちた。人々の悲鳴が届き、表通りに逃げる人影が見える。
<時間だ…>
 黒い瞳が、銀色の光を放っている。少女は、シルバーとピンクを基調にしたシンクロスーツをまとい
、マスクを装着していた。銀色のベルトには大きなバックルと銃が装備されている。身体に合わせたス
ーツは、その女優を思わせる体形を、損なうこともなく強調することもなく、身体とシンクロしていた

「ハッカーキング様、仰せのままに……」
 ビルの壁にこびり付いた染みが少しずつ大きくなり、色が濁りも艶もない黒い円となり、その中央に
巨大な目玉が現れる……
<解っておるな……>
「ハッ!」
 少女――シンクロピンク・結城飛鳥は立ち上がると、右手を胸の前にやり目の前へ大きく掲げた。ぱ
っと紫色の光が彼女を包むと、白い部分がグレーまたは黒へと変容をはじめた。シルバーは磨きの掛か
った色となっていく。ピンクはより濃い色となり、その身体を包み込む。プリント基板や、何か古代文
明の紋章を思わせる模様が、色の裏側に透けて見えた。
<こたえてみよ。結城飛鳥、今日のキミに課せられた使命を……>
「はい、ハッカーキング様。シンクロイエローに精神コントロール装置を着けることです」
<宜しい――手を出すのだ>
 言われるがままに、手を出した飛鳥の手の中に黒いブロックのようなものが形を作った。
<さあいくのだ…シンクロ……いや、ハッカーピンクよ>

 警察が対ハッカー用に最近装備した装甲車――それをハッカー獣がターゲットにしたのだった。パー
ツの浸透した装甲車の機関銃がシンクロナイツに向けて吼えた。ブルーが素早い動きでそれを破壊し、
レッドがキャタピラをレーザーで打ち抜いた。
 その場で停止した装甲車を越えて、ハッカー獣へ飛び出す。そのとき、和希は装甲車に背中を向けて
しまった。一瞬の油断、一瞬の死角、そこでその装甲車の内部から戦車を思わせる大口径砲が飛び出す
。砲身からはそのまま初弾が放たれた。空気を振るわせるブラストを、とっさに逃げたシンクロイエロ
ー。今度は振り返りながら、ハッカー獣に背中を向けた。
 ハッカー獣のレーザーはシンクロスーツを撃ち抜く。地面に降りたイエローは右腕に手をやった。痛
みはしない。だが…アスファルトの地面に血がポタポタと滴った。
「和希! 逃げて!」
「ここはわたしたちに任せて!」
 鋭い金属の音、イエローへ向けて放たれた二回目の砲撃を、間に入ったシンクロブルーのバリアが弾
きかえす。ハッカー獣へソードを振り下ろすシンクロレッドの姿が見えた。
「みんなも、さっさと逃げて!」
 謝罪は後ですればいい。今のままじゃ無理だ。ドスッと音が鳴り三回目の砲撃。バリアは鋭い音をた
てて砲弾を弾きかえす。振り返るブルーに、その負荷が解る。
「わかってますから、さっさとピンクと一緒に逃げてください」
 表面に電気が走ると、青いバリアは消散してしまう。この技は、シンクロブルーのエネルギーを消耗
させる。ゆっくりと銃を構える彼女、相手の主砲とは比べ物にならない。
「ごめん――!」
 和希は立ち上がり、猫背になる。ちくっと傷口に触れる痛みがある。たちまち貧血のような感覚がす
る。今は一先ず反対の手で止血をしながら、再度に状況を確認すると、空中へ飛び出した。四回目の砲
撃は、シンクロイエローに砲の照準を連動させていた。だが、無誘導の砲弾は、和希の動きについてい
けず、ビルにめり込み、激しい破砕音をたてた。
「ピンク――飛鳥!」
 予備戦力の投入等、和希ははじめから考えていない。戦力の逐次投入などするぐらいなら、はじめか
ら戦列に並べている。プロとして、シンクロナイツのリーダーとして、高校生の飛鳥を死地に赴かせる
つもりは彼女には無かった。
「あれ……シンクロピンク、どこへ行ったの?!」
 程なく、待機場所に戻った和希はあがった息を整えながら辺りを見回す。激しい動きにも関わらず出
血が増えることはなかったが、貧血の感覚はそのままだった。
「ここよ! シンクロイエロー!」
 和希は見上げた。排水パイプが折れて反対側のビルへ橋渡しされていた。その上にある人影が、逆光
になって見えた。
「あなた……さっさとおりてきて! 移動よ!」
 彼女の言うとおり、シンクロピンクは軽い足取りで地面へと降り立った。逆光から徐々に姿が見えて
くる。和希はそのとき息を呑んだ。いつもと違う何かを感じた。あのときの何かが、今目の前で殺気の
ようなものを孕んでいる――
「さっさと移動するわよ、ピンク――」
「ねぇ…リーダー、解っているんでしょう?」
 スーツの白い部分は濁り、模様は光沢はいつもと異なっていた。艶そのものは失われていないが、そ
こから見えるものは白というより、黒だった。



あけましておめでとうございます 本年もよろしくお願い致します


あけましておめでとうございます
旧年中はたくさんの応援ありがとうございました
本年ものらりくらりと創作するつもりでございますので
よろしくお願い致します


えーと
新年には新作をと思っていたのですが…スミマセン
全然間に合いませんでした(汗
で、ある場所でそっと公開していた創作を表舞台に引っ張り出して来ました
すでにご覧になった方もいらっしゃると思いますが…
もう一度お召し上がりくださいませw

『Hacker』 どうぞご賞味下さいませ。






「今日のハッカー獣は少し手強かったですね」
「そうだよな まさかハッカーシールドを破って
  シンクロスーツに同化してくるとは思わなかったぜ  飛鳥、大丈夫だったか?」
「は、はい 診断プログラムは異常ありませんでした
  助かりました ありがとうございます」
「飛鳥さんがハッカー獣に操られたときは、どうなるかと思いましたよ」
「飛鳥ちゃん ホントに大丈夫?」
「はい、大丈夫です 和希さん」


天才科学者左近右京に集められた4人の戦士シンクロナイツは
左近が開発したシンクロスーツを纏い、地球侵略を企む
機械生命体ハッカーと戦い続けていた。

宇宙より飛来したハッカーはハッカーパーツと呼ばれる機械部品を
地球上の様々な物に同化させ、侵略活動を行う手駒にしていた。
そしてハッカーパーツに同化され、ハッカー獣となった物は
2度と元の姿には戻れず、ハッカーの為に働く部品となり働き続ける。


何十ものハッカー獣を打ち破ってきたシンクロナイツはこの日苦戦を強いられた。
特殊な電磁フールドを発生させる装置ハッカーシールドを身に着けている
シンクロナイツがハッカーパーツに同化されることは有り得ない事だった。
だが今回戦ったハッカー獣が生み出すハッカーパーツはシンクロナイツの1人
シンクロピンクと同化すると、ピンクを意のままに操ってしまったのだった。

幸いなことにシンクロレッドが繰り出した一撃がハッカー獣の頭部にあった
制御ユニットを破壊、操られていたシンクロピンクを取戻し勝利をつかんだのだが…


『飛鳥クン スーツの診断プログラムではキミ自身に同化された痕跡が見つかっていない
  だがハッカーに同化されたキミのスーツを信用する訳にはいかない
   念のためシンクロベースに戻って、メディカルチェックを受けて貰えないかね』
「左近博士 申し訳ありませんが、今日はこのまま帰宅させて頂けないでしょうか」
『出来れば直ぐにでも、メディカルチェックを受けて貰いたいが…』
「左近博士 飛鳥ちゃんは高校生です
  今からベースに戻ってメディカルチェックを受けていたら遅くなりますよ」

疲れきった様子の飛鳥をかばうように、シンクロイエロー平井和希が口を挟む。

『…そうだね  飛鳥クン 体に違和感を感じたら、直ぐ、シンクロベースに来なさい』
「ハイ 左近博士すみません  明日、学校が終わったら必ずシンクロベースに入ります」
『宜しく頼むよ
  和希クン、予備のハッカーシールドを飛鳥クンに渡して、変身ブレスを預かって来てくれるかね?
   今夜中にメンテナンスを終わらせておきたい』
「了解しました 左近博士」

飛鳥はシンクロピンクの変身ブレスを和希に渡すと
女性VIP用に用意されているブレスレットを受け取った。

「それじゃ飛鳥ちゃん 気をつけて帰るのよ  誰か護衛に付ける?」
「いえ 大丈夫ですから…  みなさんお疲れ様でした」
「お疲れ 飛鳥」
「気をつけて下さいね 飛鳥さん」

飛鳥は笑顔を作ると頭を下げて仲間と別れた。

「パーツに同化されたけど、飛鳥ちゃんは大丈夫みたいね」

走り去る飛鳥の姿を見やり、和希は安堵の表情を浮かべた。



その日の深夜
数年前の医療ミスで今は廃墟となっている病院の地下室に飛鳥の姿があった。
そこは小さな明かりが明滅する電子機器の基盤で埋め尽くされた空間。
ハッカーの前線基地となった地下室の中央に巨大な金属の目玉が浮かんでいる。

<シンクロピンク ハッカーの精神コントロール装置で操られる気分はどうだ?>

自分を見上げて佇んでいる飛鳥に目玉が電子音声で話しかける。

<そう言えばまだ、精神コントロールを解除していなかったな>

金色に輝いていた目玉の瞳が銀色に変わり

「ハッ…… わ、わたしは… ここは…どこ…   ハ、ハッカー獣!!
  クッ! 体が動かない…どうして……   そうだ
   ハッカーパーツに同化されたあの時、何かがわたしの頭の中に」

体を動かすことが出来ないが、意識を取戻した飛鳥が
目の前で宙に浮かんでいる巨大な目玉に声を荒げた。

<わたしはハッカー獣などではない ハッカーを統べる者『ハッカーキング』>

「ハッカー獣じゃない? ハッカーキング?…… それじゃこの目玉がハッカーの…
  エッ!?  ちょっと何するのよ!  や、止めてよ!!」

飛鳥の意識に関係なく、飛鳥は着ている物を脱いでゆく。

<パーツの同化と同時に装着させた その精神コントロール装置でキミは私の支配下にある>

服を脱いだ飛鳥は黒い金属膜で出来たレオタードを身に着けていた。
夕刻の戦いでシンクロスーツにハッカーパーツを同化させられたとき
飛鳥はこのレオタード型の精神コントロール装置を着せられ、キングに操られていたのだ。

「これでわたしを操って何をするつもりなの!!」

<言うまでもない  キミは私の手駒として、シンクロベースに戻り
  ハッカー獣と同じように部品として働くのだ>

「イ、イヤよ! 誰がハッカーの為に働くものですか!! それに…」

思わず勢いで話しそうになった言葉を飲み込んだが

<ハッカーを感知するシステムで事前に察知される そう言いたかったのだろう
  だが安心したまえ、キミにはパーツを同化させたりはしない>

「パーツを同化させない?  さっきと同じようにわたしを操るつもりね」

<残念だが少し違う>

「エッ?」

飛鳥の足元が動き出し、目玉の下まで飛鳥を運ぶ。
そして目玉から伸びたアームが飛鳥の首、腰、足、腕を固定して
頭に目玉とケーブルで繋がったフルフェイスヘルメットが被された。

「な、何を…するつもり…」

<これからキミのメモリーをコピーさせてもらう>

「メモリー…  記憶ってこと?」

<そうだ そしてコピーしたメモリーをハッカーに改造し
  そのメモリーでキミのメモリーを上書きする>

「ちょちょっと… それって…
  わたしの記憶を作り変えるって…こと…… そんなの…イヤ…」

高校生の飛鳥を言い知れない恐怖が襲う。

<何も恐れることはない  自分がハッカーの部品であるというメモリー以外は
  全てオリジナルのキミのメモリー  キミには結城飛鳥でいてもらわないと意味がないからな>

ヘルメットからファックスの送信音のような音が流れてくると
飛鳥は自分の意識が薄れていくのが分かった。

「イヤ…やめて……ハッカーには…なり……たく…」

コクリと飛鳥の首が折れると黒いレオタードは溶けたように体から流れ落ち
代わりに体を固定しているアームから滲み出した銀色の液体が全身を包み込む。
液体はグニャグニャと凹凸を作り、しばらくすると飛鳥がいつも纏っている
シルバーと濃いピンクのシンクロスーツへと変化した。

<これからはこのハッカースーツを装着して、ハッカーの戦士としても働くのだ>

機械生命体が作り出したスーツの表面には回路が細かい模様のように描かれ
その上を光の点が動きまわり、輝いているように見えた。



そして数時間後…


<目覚めよ 結城飛鳥>

『……ハイ…』

ヘルメットの内蔵スピーカーで電気的に変換された冷たい飛鳥の声が響く。

アームから開放された飛鳥はゆっくりと移動すると
目玉から少し離れた場所で直立不動の姿勢で宙に浮かぶ目玉を見上げた。

<キミに課せられた使命を答えよ>

『ハイ わたしハッカーピンクの使命
  それはシンクロナイツをハッカーに改造することです』

そう答えるとヘルメットの目の部分が青く冷たく輝いた。

<ハッカーピンク
  手始めにシンクロナイツのリーダー シンクロイエローに精神コンロトール装置を着せるのだ>

「ハァ! ハッカーキング様の仰せのままに」



翌日の夕刻、飛鳥は何も無かったかのようにシンクロベースに現れると
シンクロイエロー平井和希に黒いレオタード型の精神コンロトール装置を
纏わせる機会を窺っていた。


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