花束
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x only 2008年01月

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衝動貼りw


訪問先(有名なお方様のブログです)で拝見して当店にも看板ムスメさん(ポストペットです)が欲しいなぁと思い捜索しておりましたらいらっしゃいましたw
看板ムスメさん(ポストペットです)では無いようですが、このムスメさんの悪堕ちSS(有名なお方様のブログから訪問させて頂きました)を拝見した後だったこともあり、ついつい衝動買い…ではなく衝動貼りw

カレンダーの下で出番を待っていますので
勇気を出して、声をかけて(起動を押して)あげて下さいなww
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何とか冷めないうちにお出しできました


とうとう終わっちゃいましたね プリキュア5
って言っても新シリーズがスタートするみたいですがw
新シリーズでも堕ちるお話を期待したと思います。

で、xsylphyx的最終回、ifを少し妄想創作致しました。

今回はお2方に堕ちて頂き、そして更にもう1人…
ってウソです xsylphyxの十八番料理、連鎖寸止め料理ですwww

冷めないうちにとっとと食っちゃって下さい
感想書いて下さい
続きはないでございますよ?w
続きは無いけど…おまけは…おまけ?
あれをおまけと言うのか!!

そしてちょっと壊れて暴走している xsylphyx は深い眠りに堕ちるのでした…

それでは 『if - aqua & mint -』 遠慮なさらず食って下さいw






if - aqua & mint -



『プリキュアファイブエクスプロージョン!!』

プリキュアファイブエクスプロージョンがカワリーノの体を打ち砕く。

「オ…オノレ……ワ…ワタシガ…ワタシガマケルナドト………デスパライアサマァ!!」

黒い塵となり消えてゆくカワリーノを尻目に、キュアドリームたちは本当に倒さなければなら敵、デスパライアに対峙する。

「あとはあなただけ デスパライア!!」
「今日で決着をつけるわ!!」

5人の瞳は正義と希望の光に輝いている。

「フッ… 小賢しい小娘たち  このデスパライアに勝つ気でいるとは…フフフッ…」
「ゼッタイに勝つ!!」
「わたしたちは負けない!!」

ドリームが歩を踏み出し、全員が一斉に攻撃を仕掛けるタイミングを計る。

「お前たちに最後のチャンスをやろう 我がシモベとなり、この世界を絶望の」
「ならない!!」
「ふざけないで! わたしたちは絶望などしない!!」
「わたしたちを失った部下の変わりにするつもり? 冗談!!」
「フフッ… 愚かな小娘どもめ…」

嘲笑うデスパライアに向かって跳躍しようと5人が体を沈めたそのとき、カワリーノのが倒れた場所に黒い竜巻が生まれ、瞬く間に5人の戦士は巻き込まれた。

「な、なにこれ…」
「みんな気をつけて! この竜巻、邪悪な力が…エッ?」

キュアアクア水無月かれんが黒い竜巻の邪悪な気配を感じ取り仲間に注意を促したが、それと同時に竜巻の威力は弱まり、何事もなかったかのように消えてしまった。

「なに今の…何がしたかったのよ!」
「みんな大丈夫だよね! 気を取り直して行くよぉ!!」
「「「「 Yes!! 」」」」

キュアドリーム夢原のぞみの声に答えて、4人はデスパライアに向かってジャンプした。



「お前たちの攻撃など、痛くも痒くもない フフッ…フフフフ… そろそろ良い頃合か…」

子犬や子猫をあしらうように5人の攻撃を受け流しているだけだったデスパライアが、余裕とも思える不敵な笑みを浮かべると、人差し指でドリームたちを順番に指差し、ドス黒い気の塊を命中させた。

「キャアァァァ!!」
「アグゥッ」

全身に黒い稲妻が走り、強い衝撃を受けたが大したダメージはなかった。

「みんな大丈夫?」

立ち上がったドリームが仲間の安否を気遣う。

「Yes…」
「だい…じょうぶ…」

キュアルージュ、レモネードがよろけながら立ち上がったが

「アクア? ミント?」

アクアとミントの2人はまだ両手をついて、四つん這いになったまま、立ち上がろうともしていない。

「どうしたの! アクア!! ミント!!」
「大丈夫よ…」
「気にしないで…」

答えてゆっくりと立ち上がるとドリームたちを安心させようとしたのか微笑んで見せる。

「大丈夫? アクア? ミント?」
「「Yes…」」
「それじゃあ行くよ!!」

2人の笑顔に安心したドリーム、ルージュ、レモネードの3人がデスパライアに向き直り、必殺技をお見舞いするモーションに入ると、アクアとミントも影のある瞳で必殺技の準備に入った。

「カワリーノの囁きに誘われたのは2人だけか… まぁよい…フフッ…」

相変わらず余裕の笑みを浮かべているデスパライアにドリーム、ルージュ、レモネードの必殺技が放たれた。

「いつまで笑ってるつもり! これならどう!!  ルージュファイヤー!!」
「レモネードフラッシュッ!!」
「プリキュアクリスタルシュート!!」
「…ミントプロテクション…」

3人の放った輝きが重なり合いデスパライアを捉えるかのように思われたが、少し遅れて放たれたミントの必殺技がデスパライアを護るように壁を作り、3人の攻撃を跳ね返した。

「エッ!」
「なんでなんで!!」
「ミント、どうしたのよ!!」
「…アクア…トルネード…」
「「「エッ?」」」

後ろを振り返り、ミントを見やった3人に今度はアクアが彼女たちに向かって必殺技を放った。

「「「キャアァァァァ」」」

跳ね返された自分たちの必殺技とアクアの必殺技を受けた3人は激しく地面に叩きつけられた。

「うっ…うぅぅ……どうして……どうしたの…アクア…ミント…」

地面に這いつくばったまま2人を見上げるドリーム。

「ドリ…ム……逃げ…て……」

じっと佇んだまま額に汗を滲ませている2人の体は小さく震え、必死に堪えているように見える。

「えっ…なに…どうしたの…アクア…」
「はや…く……にげ……」
「ホホォ まだ抵抗できるとは それがプリキュアの力か だが闇のシモベとなるお前たちにその力はもはや不要… フフフッ… 我が元へ来るのです 新しいシモベたち」

玉座に腰を下ろしたデスパライアの方を向き、ゆっくりと歩き出すアクアとミント。

「どうして…どうしたんだ…アクア…ミント!」
「おね…が…い……みん…な……にげ……」

デスパライアに近づくごとに2人の様子はおかしくなり、言葉も無くなる。

「デスパライア! 2人に、アクアとミントに何をしたの!」

ボロボロになった3人が立ち上がり、消えかけていた闘志を奮い起こす。

「フフッ お前たちを絶望させることは出来なかった だが、心に闇を抱かせることは出来る」
「心に闇を…抱かせる…」
「まさか…アクアとミントの心を闇に…」
「でも…どうやって…」
「カワリーノ あれは面白い力を持っている 自分の命を奪った者の心に忍び込み、心の奥底に眠る闇を呼び覚ます そしてその者の心を闇で満たし、我がシモベへと誘う」

デスパライアの言葉が終わるころ、アクアとミントはその膝元に辿り着き、虚ろな瞳を絶望の支配者に向けていた。

「さっきの黒い竜巻!!」
「あのとき、アクアとミントの心を!」
「フフッ そのとおり… だが、黒い竜巻に巻き込まれたのは、この2人だけではない…フフフフッ」

デスパライアはドリーム、ルージュ、レモネードに不安を抱かせようとした。

「だまされない!! わたしたちの心に闇なんかない!!  アクア、ミント、しっかりして!! だまされないで!!」
「「アクア! ミント!」」

自分たちの名前を叫ぶ仲間の声にピクリと指先を反応させる2人。

「ド…リ……ム…」
「みん…な…」
「「…わたしたちは…プリキュア…」」

心に広がる闇を抗うアクアとミントの顔が苦悶に歪み、体が震える。

「我が力を注ぎ込まれてもまだ… フッ フフッ… だが…」

デスパライアは立ち上がり、アクアとミントの前に立ちはだかると冷たい眼で2人を見据えた。

「すぐに楽にしてあげましょう その忌々しいプリキュアの力を完全に消しされば、このデスパライアに仕えるに相応しい闇の戦士に、我が忠実なシモベに目覚めることでしょう」
「うぅっ…」
「いやっ…」

デスパライアの手がアクアとミントの顔の前にかざされると、黒い仮面が現れ、2人の顔にピタリと張り付く。
黒い仮面を着けられた2人の背中が仰け反り、力が入り強張った全身が激しく痙攣する。

「アクア!! ミント!!」

2人を助け出そうと駆け出した3人はデスパライアの放ったコワイナーに阻まれ、アクアとミントに近づくことが出来なかった。

「そこで仲間の生まれ変わる様を見届けるがよい」
「アクア! ミント!  負けないで!!」
「アクア!!」
「ミント!!」
「フフッ ムダなこと… もはやこの2人にお前たちの声は届かぬ」

アクアとミント、2人の体の痙攣は次第に治まり、デスパライアの前で直立不動の姿勢で大人しくなると、変身は自然に解除された。

「フフッ 新しい力を纏い、このデスパライアに忠誠を誓うのです」
「ダメッ!! アクアッ! ミントッ! 目を覚まして!!」

2人は小さく頷き、手首のピンキーキャッチュを黒い仮面の前に翳し、そして…

「「デス…メタモルフォーゼ…」」
「エッ!?」
「いま…」
「デス…って」

黒い仮面はこまちとかれんの顔から剥がれてピンキーキャッチュを包み込むと、黒く、邪悪な姿へと変化させた。
そして2人の姿をも、新しい闇の戦士の姿に変える。
その姿はキュアアクア、キュアミントのままだったが、白を基調としたデザインが黒を基調としたダークブルーとダークグリーンへと変わっていた。

「アクア…? ミント…?」

変わり果てたアクアとミントの姿を心配そうに見つめる3人を2人は妖しく冷たい笑みを湛えて見ているだけだった。

「新しい力を手にした気分を答えなさい」

あるじとなったデスパライアに向き直ると、左足を半歩下げるて膝を折り跪いた。

「「はい デスパライア様」」
「これまで感じたことのない…」
「体の中から力が…溢れ出してきます」
「「デスパライア様」」
「この力 世界を絶望で支配する為にお使い下さい」
「何なりとお申し付け下さいませ」

デスパライアの手に両手を添えたアクアとミントは、あるじへの絶対の忠誠を誓う口付けを手の甲にした。
そしてその口付けが2人を完全なナイトメアへと変える。
口付けをしている唇がパープルに染まると肌を侵蝕するかのように温かみのない青白い、ナイトメア特有の肌の色に変わり、目尻がパープルのシャドウとアイラインで邪悪につりあがる。
そして全身の肌の色が染まりきるとアクアとミントの爪が黒く鋭く伸びた。

「フフッ お前たちの働き、期待していますよ  デスアクア、デスミント」

新しい名で呼ばれたアクアとミントがデスパライアを見上げ、目を開くと2人の瞳は深紅に染まり輝いた。

「「ハイ お任せ下さい  デスパライア様」」




コワイナーの群れの中を冷たく微笑み歩いてくるアクアとミント。

「ウフフッ…」
「フフフフフッ…」
「アクア…ミント…」
「さぁ 戦いましょう… キュアドリーム」
「戦えないよ… ねぇ! 目を覚ましてよ!! アクア! ミント!!」
「そうだよ! わたしたちは一緒に戦ってきた仲間じゃない!!」
「ミ…ミント… アクア…」

闇に染まったアクアとミントに正気を取り戻させようと説得するドリームとルージュ。
その後ろで、戦意を失い震えているレモネードの心にアクアとミントを闇に堕としたドス黒い何かが急速に広がりはじめていた。

「フフッ お前の心にも闇が広がり始めた」

デスパライアの人差し指が怯えた顔でアクアとミントをみつめているレモネードに向けられた。



to be not continue …


シビレましたぁ…同化されましたぁ…最終夜



お待たせしました
いよいよ最終夜です
特撮番組でヒロインがこんな堕ち方してくれたらもう…
ってわたしがここで興奮しても仕方ないですよねww

素晴らしいご馳走を用意して下さったサワキ様に感謝致します
ホントにありがとうございました。
みなさま、ご感想などをよろしくお願い致しま?す

サワキ様作『 Hacker 2 』 最終夜
どうぞごゆっくり召し上がり下さい。





Hacker 2


 瞼を開いたとき、平井和希は目の裏側を何かが刺すような感覚がした。光はない。目の前は見えて
いる。暗い部屋だ。身体を起こそうとする。だが、掴むところがない。浮いているような感覚、いや
現に浮いている。
「ここは……」
 口に出す言葉が、内耳に聞こえる。自分はどうなったのか、身体を動かす。頭痛がする。闇、暗闇
、虚無、和希は息を呑む。彼女を押さえつけていた飛鳥のひんやりとした肌を思い出す。
「わたしと…したことが……」
 涙は出ない。悲しみもない。恐怖もない。だが、敵に捕らえられたらしいこと、この異常な事態は
敵の拠点のどこかであろうこと、それだけはなんとなく解った。
<――ご明答、シンクロイエロー>
「誰?!……あ、そ、その声は……!?」
<そうさね…私は、メローネフ…シンクロイエロー、キング様からあなたの『措置』をご命令されて
いるのさ…>
 声は笑っている。愉快でたまらないのだろう。その声は、ハッカーの女幹部メローネフ――黒髪の
悪魔だった。
「じゃあ、ここは…ハッカーの基地ってことね…」
<そう…ここは、戦艦クロンシュタットさね…>
 メローネフの姿が見えないが、その表情は見えた。戦艦クロンシュタット――敵の地球侵攻艦隊の
主力艦の一隻だった。戦艦ヴァツーチンとクロンシュタット、それを支援する合計500隻の艦隊を
軌道上に展開させたハッカーは、それで地球人の宇宙進出を拒んでいる。
「そう? ありがとう…わざわざ、私が一番行きたい場所までつれて来てくれて……」
<アハハハハハッ!>不意に耳障りな笑い声がした。目の前に、メローネフの姿が投射されて現れた
。〈シンクロイエロー、あなたは馬鹿さね…〉
 そして、画面がズームアウトする。振り返り様にカメラを見つめていたメローネフは、目の前を向
き直ると、顔を下に向けた。
「ウソッ……」
 そこにあるのは、殺風景な船室だった。丸い窓が壁にはまり、地球が見えている。その光にメロー
ネフの髪がきらきらと光沢を与えていた。細く鋭い鶴のような横顔が綻び、そこにあるものを手に取
り吸い始めた。
「ありえない……」
 メローネフは和希に見せ付けるようにそれを吸った。そこにあるのは、シンクロイエロー――薄汚
れたシンクロスーツに身を包んだシンクロナイツのリーダーが、マスクを剥がされ意識を失って横た
わっている。メローネフは、晒されている平井和希の唇を音を立てて吸っている。
<んんっ…>
 『和希』の顔が、眉間に皺を寄せ歪ませていた。
「あなた、どういうこと…メローネフ…」
 呆然と言葉を続ける和希へ見せ付けるように、じっくりと吸い尽くされていく。やがて、お互いの
唇が濡れていた。メローネフは顔を上げると、そこにいる『和希』の手を取った。
<驚いたでしょう……これは紛れもないあなた…そして、あなたもまぎれもないあなた……だけど、
このシンクロイエローは外見しかなくて、今のあなたには内面しかないのさ……>

 ――平井和希が気を失っている間、ハッカーは彼女の身体から彼女の記憶だけを取り出し、コンピ
ューターに格納した。メローネフの話を要約するとそういうことらしかった。
 和希は瞬きをした。今の自分は、データしかないということ。そんなはずはない。身体は冷たくて
、頭痛はして、感覚が生きている。なのに、データでしかないという……

「それで…さっさと、私の身体を使って、悪事でも働いたらどうなのかしら?」
 和希は言う。殺すなら殺すでさっさとすればいいのだ。なのに、幹部自らでデータ化された人間と
話をしている。メローネフは何かを企んでいる。
<そうさね…あたいは…さっさとあなたを倒したいのさ…だけど、ハッカーキング様が、あなたに一
目置いているのさ……>
 メローネフが彼女のほうを覗き込んでいる。
「一目……?」
〈キング様は、頭の悪い奴は大嫌いなのさね。だから、地球人は大嫌いなのさ。だけど、シンクロナ
イツのリーダーのあなただけは……協力に応じるなら、いかして上げてもいいって言っているのさね〉
「へぇ……」
 『仲間になるぐらいなら死んだほうがマシよ!』とでも言えたら、どんなにいいだろう。事実、和
希もその言葉を言いかけた。だが、ここは完全に敵の手中、このままムダに反抗すれば、死ぬだけだ
った……

<まあ、仲間になれば、あたいの部下として大切にしてあげるさね>
 メローネフは言いながら、和希の身体を撫でている。その口調は倒したいという言葉よりも、本音
を垣間見させた。これまで、剣を交え銃を撃ち合い、シンクロイエローは勝ち続けてきた――そのイ
エローを手ごまに並べることができる――メローネフのサディスティックな横顔に、和希は吐き気を
覚えた。
 口の中に苦いものを感じさせた。
<迷うのは解るさね…だから、考える時間を与えるさね>
 メローネフは向き直ると言った。手の中に四角い箱があり、画面のほうへ手を寄せると、そこから
メローネフの大きな手が現れた。その中に握られた四角い箱が、和希の目の前に置かれる。それはシ
ルバーの金属の下地をむき出しにしたケースだった。その頂点に、ボタンが据え付けられている。ボ
タンは赤い色だった。
<それをおしたら、あなたはあたいの仲間になれるさね>
「やけに親切じゃない? 飛鳥は…ピンクはきっと簡単に洗脳したんでしょう? 有無をいわさず―
―」
<よく解ってるさね>
 和希は思わず微笑んだ。皮肉っぽい顔をしていると自分でも解った。
「たまには私だって、あの子を意のままに動かしたいと思うもの……」
 メローネフは顔を上げた。にっこりと微笑んで画面が消えた。
<考え終わったら好きにするさね。シンクロイエロー? あなたなら、舌を噛み千切って死ぬことぐ
らい簡単さね?>
 それ以上、敵は応えなかった。和希は瞬きをした。暗闇は少しだけ明るくなったように思える。身
体は、黒いスーツに包まれている。戦闘員のようだ。どこかからか光がさして、床が海面のようにキ
ラキラと光を放っている。
 床はボタンまで続いていた。和希はそれを見つめた。足を進めた。スーツは窮屈だった。笑った。
いやだったら舌を噛み千切れ、メローネフは言った。だが、今の自分が、本当にデータなら舌を噛み
切ることに、どんな意味があるのだろう。
<言い忘れてたさ>
 声に和希は振り返らなかった。
<ほっておいても、そのスーツの内部に塗られた液体が、あなたの体温に溶けて――あとは定番の展
開さね>
 ボタンを見ながら、シンクロイエローは微笑んでいる。
 本当にわたしはデータなんだろうか。手を目の前にかざしてみた。胸を締め付けられるような感覚。
これまでの経験が、簡単にわたしを動揺させてくれない。わたしはリーダー。シンクロナイツのリー
ダー、だから、死ぬことは許されない。
 生きていれば、きっとチャンスを掴むことができる。汗を欠いていた。体温があがっているのだろ
うか、動悸がする。これで、さっさとその『液体』とやらは溶けてしまうのだろうか。敵を倒す。だ
けど、今は無理だ。目を瞑った。闇が目の前に広がった。身体を包むスーツの裏側で溶けていくバタ
ーのような何かの感覚を覚えるのは、これはウソなんだろうか。本物のシンクロイエローはメローネ
フにいたずらされて、クロンシュタットの船室で寝ているのだろうか――そして、わたしはコンピュ
ーターに格納されたデータなんだろうか、本当に。
「でも、結局は、死ねって命令は出てないわね……」
 シンクロイエロー・平井和希は瞼を開けた。わたしはシンクロナイツのリーダー、左近博士の命令
権に属している。だから、博士が死ねって命令しなければ死ねない。ピンクや、レッドやブルーに、
しきりに『リーダーとしての命令です』と告げるのは、命令が無ければ勝手な判断を下してはならな
いからだ。
 ボタンはそこにあり、プラスティックの光沢を放っていた。指をあて、奥に押し込むと中にセット
されたバネの感触がした。奥まで押し込んでカチという音がした。
 出し抜けに輝いたスーツは、ゴキブリの羽根のように見えた。そこに見えたのは何かの幾何学的模
様、その奥に見えたのは01という数字の羅列。それは意味を成さない数字に見えた。だけど、和希
には、それが意味のある数字だと解った。
「ウッ……やめて…」
 和希は解った。平井和希は生かされる。だけど、もう正義ではいられない。頭が、犯されていく。

 軽いめまいと吐き気、何かが脳に満ちている。それはメローネフの声に似ていたが違っていた。流
れ込んでくるのは溶岩のような感じを覚えさせた。気持ち悪い誰か助けて。手を伸ばして、目の前を
見ると、メローネフがいた。
「あなたほどの意思の強い人なら、きっといい部下として使えるさね」
 照明を受けて、その身体はカメレオンのように見えた。爬虫類そのものだが、気持ちよさよりも綺
麗さを感じさせる。その背後に並んでいるのはコンピューター。そこは黒いが暗闇ではなかった。黒
いスーツはなくなり、シンクロスーツをまとっていた。身体に目をやると、幾何学的な模様と、01
01という『言葉』が透けて見えた。
「ふふふふっ……」
 わたしは正義なんだ…和希は心の中で呟く――そう、わたしは正義。わたしは、ハッカーキング様
に仕えて、シンクロナイツを滅ぼすことを正しい義務と考える。わたしは正義のヒロインだ…
 メローネフは彼女の肩に手を当てた。ゆっくりと歩くように促す。身体は窮屈だった。肉体とはこ
んなに不安定なもので、ぎこちないものだとは解らなかった。
「さあ、そろそろさね……こっちさね」
 メローネフと共に隣の部屋へ抜けた。そこには大量の戦闘員が詰めていた。コンピューターが暗闇
に並んでいて、部屋中が冷気と空調の騒々しい音に包まれている。
「ここは中央作戦室、イエロー、見るがいいね」
「はい、メローネフ様」
 そこは大型のデスクになっていて、下から照明があてられている。そこに地図がおかれ、びっしり
と線や文字が書き込まれている。
「戦闘用意!」
 出し抜けによく通る声で号令をかけたのは、ハッカーの幹部メストーフだ。
 地図には、クロンシュタットの位置がポリゴンで投影されている。その地図には見覚えがあった。

シンクロベースのあるあたりの地図だ。
「メローネフ様…リーダーはもう……?」
 声に、和希は顔を上げた。ピンクとシルバーを基調にしたスーツに身を包んでいるのは、ハッカー
ピンク、結城飛鳥だった。目の周りが黒くなっていて、顔が青い。
「そうさね、でも、リーダーはあたいさね」
「主砲、交互射撃にて、撃ちー方、始め! てーっ!」
 メストーフは彼女らの会話など気にしない様子で声を上げる。どすんと腹に響くような音響が室内
に聞こえ、振動が伝わってくる。顔を上げた和希の目の前に大きなディスプレイがあり、目の前にク
ロンシュタットの主砲が火を噴いていて、その先には何の変哲もないビルに見せかけたシンクロベー
スの建物があった。
「リーダー…いえ、イエロー驚かなくていいわ。わたしが、メローネフ様にシンクロベースの場所を
教えて、破壊するようにお願いしたんだから」
 飛鳥は言った。和希は彼女を向き直り、その目を見た。数度瞬きをした。不信そうな目つきに飛鳥
がかわるのがわかる。
「メローネフ様、イエローはまだ……」
「ハッカーピンク」平井和希は言った。「よくやったわ。これまでわたしたちは間違えた正義の為に
、ハッカーキング様に逆らってきたけど、それは全て間違いだったわね。ごめんなさい、あなたを指
揮してきたものとして、あなたを間違え導いたことは申し訳なく思うわ」ドキドキしている、和希は
瞬きをした。「わたし……わたしは、ハッカーイエロー。全知全能のハッカーキング様に忠誠を誓う
もの同士、今日から一緒に、地球を支配する為に手を取り合っていくわ。これからは上下無く、メロ
ーネフ様の下で仲良くやりましょう!」
 ハッカーイエローは地図の上に腕を差し出した。ハッカーピンクはややあったあと、その手を取っ
た。
「堅物らしい挨拶だけど、まあいいわ。わたしも、これまでワガママばかりいってごめんね、リー…
…ハッカーイエロー」
「主砲、目標に命中! 次より斉射に切り替え! 虫一匹逃すな!」
 メローネフは笑った。手を取り合うイエローとピンクの向こう側で、ディスプレイの中のシンクロ
ベースは煙を巻き上げながら崩れようとしている。メストーフと戦闘員が命令を繰り返して異様な雰
囲気に包まれている作戦室の中で、2人の女が手をつないでいる。
「さあさね、イエロー、ピンク? 基地壊したら、どうやって、レッドとブルーを捕まえるさね?」



シビレましたぁ…同化されましたぁ…第2夜



ハッカーピンクとなった飛鳥が和希の前に…
ってわたしが話をしても、だぁ?れも聞いてくれないでしょうから
すぐにお料理をお出しします。

サワキ様作『 Hacker 2 』 弟2夜です
どうぞごゆっくり召し上がり下さい。





Hacker 2


<シンクロレッド、シンクロブルーはまもなくこの場所を脱出する>
 ピンクのマスクのバイザーに『目』が現れた。それは金色をした瞳だった。それは、飛鳥の目ではな
かった。一つ目のそれは、そこに映写されたフィルムのように見えた。
「おまえは……」
<レッドが、また幸運にもハッカー獣の額にある制御システムを破壊し、装甲車の砲に装填された砲弾
が破裂する……あまりの爆発にお前らが分析の為に欲するハッカーパーツどころか、ネジ一本まともに
回収はできないだろうがな……>
 空気が震えた。地震にも似ていた。背後に立ち上る炎の柱とキノコ型に膨らむ黒煙の様がその空気の
流れだけで解った。ミシミシとあたりが不気味に振動すると、あたりの建物にはめられたガラスという
ガラスが音を立ててはずれ、地面に向けて落下した。
 その破片はシンクロイエローとピンクの間にも降り注いだ。シンクロスーツをまとっていたから、そ
んなものでダメージはない。和希は左手を右腕から離した。目が、一層光を放っているように見える。

「全ては、筋書き通りってことかしら? 飛鳥が戦いのあと帰りたがったのは、今日、中間テストがあ
ったからではなくて、メディカルチェックを回避するための言い訳ってことになるわよね……?」
<ご明答…頭脳明晰なシンクロナイツのリーダーは話が早い…この小娘など、騒ぐだけで会話にすらな
らなかったというのに…>
「あなたは誰? 飛鳥をどうしたの?」
 金色の目は、瞬きすらしなかった。
<ハハハハッ…私はハッカーキング、ハッカーを統べるもの。結城飛鳥は私の部品となったのだよ。部
品だ…シンクロイエロー?>
「何を考えているの?」和希は己を律した。飛鳥を奪った恐ろしい敵だ。ここで、感情に逸り勝負を挑
んでも、勝ち目はない。
<何を…か…私にそんなことを聞いたものは初めてだよ…ハハハッ…>
「誤魔化さないで、質問ぐらい答えたら? 飛鳥を取って、私たちの機密情報ぐらい手に入れたでしょ
う? 基地でも、なんでもさっさとハッキングしてしまえば……」
 痛みはいつのまにか消えていた。燃え立つような感情の高ぶりを、和希は感じた。これまでになかっ
た感覚だった。シンクロナイツのリーダーとして、このような事態を考えていなかったわけではない。

<無用な殺傷は好まん…貴様ら人類を滅ぼす等、私の手を持ってすれば容易いこと……滅ぼさず、利用
する…これぞ、高位にある生命体の為せる業よ……>
 金色の目は、燃えるような眼光のまま、徐々に銀色へと変容していく。
「あなたの言ってることって、結局侵略者の論理じゃない?」
<貴様と、歴史について論議をするつもりはない。一先ずは、シンクロイエロー、平井和希……このシ
ンクロナイツ最大の危機に為さなければならないことは解っておるだろう…>
 言いながら、そのバイザーの瞳は徐々に薄くなり始めていた。そして、ピンクはゆっくりと戦闘体勢
に構えなおし始める。
<あとは任せたぞ、ハッカーピンク>
「仰せのままに……」
 和希は飛鳥の声に我にかえる。無意識のまま、和希は左手にソードを構えていた。ハッカーキングが
言ったのはつまり、ピンクを――結城飛鳥を殺さなければ、この汚染はシンクロナイツ全員に広まると
いうことだ。
「どっちも助ける、なんてことができればいいけど……」
 そんなことができるのは、ドラマの世界だけだということを和希も知っている。目の前にいる結城飛
鳥は、敵となったが、大切な仲間でもある。前の平井和希なら、それでも殺めることはできた。だけど
、シンクロナイツとして死線を越え、面倒を見てきたこの年下の女性を…和希は首を振る。殺めること
など出来はしなかった。
「わたしからいくわよ!!」
 まっすぐ突っ込んでくる飛鳥を、上方へ跳躍をして回避する。発射された銃弾の弾道を読んで避ける
。実力の差は歴然としている。だからこそ、避け続けることは簡単――だけど、それでは何の解決にも
ならない。
「とう!」
 銃をソードに構えなおしたピンクが飛び出すと、ビルを左右に足場としながら、距離を詰めてきた。
落下地点から数歩引く。前へ出る飛鳥が振り下ろしたソードが青白い光を放っている。鋭い音。ソード
とソードがぶつかり火花を散らす。左へ避け、背後に立つ。跳躍して、一気に距離を引き離す。
「こうなったら…それしかない…」
 ソードを仕舞い、ホルスターから銃を抜いた。催涙弾を選択する。一瞬、迷った。眠らせても、シン
クロベースに連れて行くのは…
「アッ!?」
 手元で爆発が起こった。銃が銃身からソフトクリームのような形に変形してしまっている。軽い痺れ
が手に広がっている。顔を上げると、飛鳥が銃をこちらに構えて、その銃口から白煙があがっていた。

「させないわよ……」
「しまった!」
 焦り、いつも感じる焦りよりもっと本能的なものだった。飛鳥をいかなる形でも攻撃したくなかった

「ほーら、どこみてんのよ!!」
「あああっ!?」
 目の前からかき消すように消えた飛鳥の影が、背後に現れて腕をとった。前へ突き動かされ、壁に身
体が当たり、埃が舞った。
「あ、あなた…っ……」
 止んだ腕の痛みがぶり返し、マスクの中で頭をしたたかに打ち付けた。負傷で判断力が鈍ったのか、
飛鳥を攻撃できない気の迷いか、飛鳥の力が増してるか、一瞬光が差すと、再びシンクロイエローの身
体が壁へとぶち当たり、そこに亀裂をつくった。
「あくぅっ…」
 口の中に血のニオイがする。どこか切った。首を動かすと、飛鳥の腕が見えた。基盤のような模様、
ハッカーの手に落ちたシンクロスーツ……
「リーダー、それで終わりですかあ?」
「飛鳥、やめなさい……」
 無駄だとわかっている言葉を口にするしかない。身体を打ちつけ、痺れを感じた。離れようともがく
腕は蛇のようにまとわりついていた。
「リーダー、『戦場はあなたが若いかどうかなんて考えない』とかなんとか、訓練でいっちゃって、わ
たしのこと散々痛めつけたのに、痛めつけられちゃってますね?」
 身体が、密着して壁に押し付けられていた。後ろにキングがハッカーピンクと呼んだ飛鳥の身体があ
り、冷気を感じさせた。
「それは、あなたの為に……」
「わたしの為でも、リーダーの為でも、どっちでもいいんですがー」
 言葉が止む。和希は振り返って、そのマスクを見つめた。。
「これをリーダーにあげれば、私はキング様から授かった命令を達成するので、なんでもいいんですけ
どね」
 飛鳥のグローブが手にしているのは、羊羹のような黒い物体だった。それを彼女は見せ付けるように
示していた。
「パーツね……?」
「うーん、ちょっと違いますけど、まあそんなところですね。じゃあちょっと、息を吸ってもらえます
か? ちょっと苦しいと思うので……」
「や、やめなさい!?」
 飛鳥の身体よりもそれはずっと冷たかった。脊髄のあるあたりに当てられた黒い物体が痺れた感じを
ずっと強くさせて、脳へ向って電撃が入ってきた。身体の力が抜ける感覚に、和希は瞼が厚くなり、そ
れが涙だということに気づくまでやや時間がかかった。
 いつのまにか、飛鳥の手が和希の胸にあてられている。その手は揉むわけでも、守るわけでもなく、
そこにある。飛鳥の反対の手は負傷した傷口にあり、冷たい手がそこだけふっと暖かくなる感覚がする

 首を振った。そんな筈はなかった。だが、痛みは癒えて、身体が軽くなる感じがした。軽くなって、
首を上に向けると、そこには黒いものが見えた。
 漆黒の闇がそこにあった。目を丸く、眉間に皺を寄せた。闇は徐々に降りてきて、和希を包み込んで
いく。
「イヤ!」
 平井和希は確かにそう叫んだ。意識はそこで潰えた。マスクの中で、びくびくと唇や瞼が動いていた
が、それもやがて止まり、安静な表情へと変化していく。
「案外簡単だったかなぁ……」
 どさっとシンクロイエローはその場に倒れこんでしまう。真っ黒で光沢をもった粘質の液体に覆われ
た身体がそこに横たわっている。ハッカーピンクは愉快な顔をして、それを見ていた。
 イエローの背中に出来た瘤――コントロール装置から這い出た液体はレオタード上にその表面に広が
り、生きた生き物のように蠢き、シンクロイエローを包み込んでいく。そのスーツの中で、平井和希は
生きている。
「さあて…はやく連れて行かないと、レッドとブルー、あのバカ博士に怪しまれちゃう……」
 ぐったりしたまま動かないイエローを、ピンクは軽々と持ち上げると、くすくすと微笑んだ――この
正義感の塊のオバサン、これまでわたしのこと散々コケにしてくれたわよね――
「だけど、全知全能の創造神であるハッカーキング様に、背筋伸ばして忠誠を誓っちゃうのよね――あ
ーもう本当に、バッカみたい」



シビレましたぁ…同化されましたぁ…第1夜



相互リンクして頂いております
戦隊を中心とした特撮ヒロインのイラストやSSを掲載されている
『THE ICBM』の管理人サワキ様から、なんとぉ!!
わたくし xsylphyx の創作『Hacker』の続きになるSSを頂きましたぁ!!
さすが多くのヒロインモノSSをお書きになられているサワキ様 凄いです。
ご馳走です。堪能させて頂きました。
オススメです是非食べて下さい。残さず食べて下さい。ゼッタイ食べて下さい。
食後に一言お願いしますね

ホントは一度に全部、食べて頂きたいのですが
じっくりと時間をかけてみなさんを悪のシモベに…
って冗談ですけどw 3回に分けて掲載させて頂きます
本日はその弟1夜

サワキ様作『 Hacker 2 』 弟1夜 どうぞごゆっくり召し上がり下さい。





Hacker 2


「飛鳥クン、異常はないかね?」

 指令室に顔を出した結城飛鳥を見るなり、左近はきいた。
「はい、左近博士、昨日はワガママを言ってしまいすいませんでした。――みなさんは?」
「ああ、みんなは十五時から戦闘訓練だ。それより――」
 壁に埋め込まれた電子レンジのような扉を博士が開けると、収められていた変身ブレスを取り出す。

「はい、昨日のうちに、システムチェックと破損箇所の修復を行っておいたから、もう使える筈だ」
「わかりました。私の為にわざわざ申し訳ありません」
 深々とお辞儀をする飛鳥に、左近はハンカチで額を拭く。

「いや、いつも君たちを危険な目に遭わせているんだ。これぐらいのことはなんでもない。それより、
何にもなかったな。昨日からは?」
「はい」顔を上げると、ブレスを受け取り少し笑顔を浮かべて応える。「まったく問題ありません、ぴ
んぴんしてますよ!」
「そうか、じゃあ、今日のうちに、メディカルチェックを――」
 言いかけた左近の言葉を遮るように、壁にすえつけられた赤色灯が回転を始めた。

 中央警戒管制システム情報――ハッカーの出現と、出現場所についての情報が、いつもと同じ調子の
電子音声で流れ、ブレスを手にした飛鳥が弾かれるように指令室から出て行った。

「あなたは出せないわ」
 平井和希は飛鳥の姿を見るなり告げた。
「大丈夫です、リーダー」
 現場近くの雑居ビルと雑居ビルの谷間――訓練を中断して出動した三人と、現場で合流した飛鳥――

「あなたー―飛鳥ちゃん、あなたは昨日敵にスーツを乗っ取られて操られたわ。あのときはレッドが間
一髪食い止めたから良かったようなものの……」
「大丈夫です」飛鳥は平静そのものといった口調で言った。
 マスクに包まれた顔は見えないが、その精悍なデザイン以上に冴えた表情をしていることだろうと、
和希は見て取った。
「私は、正常です。左近博士も、ブレスのメンテナンスは完了したと言っていました。何も問題ありま
せん」
「それなら」話が終わらないうちに、和希は返した。「あなたには予備戦力として、ここに待機しても
らいます。私とレッドとブルーで出て、必要に応じてあなたには出動して貰います。必要時期について
は、私が命令する時とします。待機中に、あなたの持つ権限はに自衛権の行使のみ」
 そう告げると、背後に待機するレッド、ブルーに目配せを送る。返してピンクを見つめた。
「これは、シンクロイエロー、シンクロナイツのリーダーとしての命令です――さあ、状況開始!」

 言い切って、物陰から出て行く。長い槍を手にした彼女は、眉をひそめていた。飛鳥の話し方が何か
変だった。あの子はもっと、舌足らずな物言いをする筈なのに――いつもはもっと、こんな命令を下す
と、感情的に声をあげる筈なのに――今日は、命令に対して、ゆっくりと頷いただけだった。



 アスファルトの地面がぶるぶると震えている。空気を叩く音が周囲のビルを揺らし、一部の窓にヒビ
を入れている。振動に、目の前のビルに上から下へ据え付けられた排水パイプが外れて汚水が地面に落
ちた。人々の悲鳴が届き、表通りに逃げる人影が見える。
<時間だ…>
 黒い瞳が、銀色の光を放っている。少女は、シルバーとピンクを基調にしたシンクロスーツをまとい
、マスクを装着していた。銀色のベルトには大きなバックルと銃が装備されている。身体に合わせたス
ーツは、その女優を思わせる体形を、損なうこともなく強調することもなく、身体とシンクロしていた

「ハッカーキング様、仰せのままに……」
 ビルの壁にこびり付いた染みが少しずつ大きくなり、色が濁りも艶もない黒い円となり、その中央に
巨大な目玉が現れる……
<解っておるな……>
「ハッ!」
 少女――シンクロピンク・結城飛鳥は立ち上がると、右手を胸の前にやり目の前へ大きく掲げた。ぱ
っと紫色の光が彼女を包むと、白い部分がグレーまたは黒へと変容をはじめた。シルバーは磨きの掛か
った色となっていく。ピンクはより濃い色となり、その身体を包み込む。プリント基板や、何か古代文
明の紋章を思わせる模様が、色の裏側に透けて見えた。
<こたえてみよ。結城飛鳥、今日のキミに課せられた使命を……>
「はい、ハッカーキング様。シンクロイエローに精神コントロール装置を着けることです」
<宜しい――手を出すのだ>
 言われるがままに、手を出した飛鳥の手の中に黒いブロックのようなものが形を作った。
<さあいくのだ…シンクロ……いや、ハッカーピンクよ>

 警察が対ハッカー用に最近装備した装甲車――それをハッカー獣がターゲットにしたのだった。パー
ツの浸透した装甲車の機関銃がシンクロナイツに向けて吼えた。ブルーが素早い動きでそれを破壊し、
レッドがキャタピラをレーザーで打ち抜いた。
 その場で停止した装甲車を越えて、ハッカー獣へ飛び出す。そのとき、和希は装甲車に背中を向けて
しまった。一瞬の油断、一瞬の死角、そこでその装甲車の内部から戦車を思わせる大口径砲が飛び出す
。砲身からはそのまま初弾が放たれた。空気を振るわせるブラストを、とっさに逃げたシンクロイエロ
ー。今度は振り返りながら、ハッカー獣に背中を向けた。
 ハッカー獣のレーザーはシンクロスーツを撃ち抜く。地面に降りたイエローは右腕に手をやった。痛
みはしない。だが…アスファルトの地面に血がポタポタと滴った。
「和希! 逃げて!」
「ここはわたしたちに任せて!」
 鋭い金属の音、イエローへ向けて放たれた二回目の砲撃を、間に入ったシンクロブルーのバリアが弾
きかえす。ハッカー獣へソードを振り下ろすシンクロレッドの姿が見えた。
「みんなも、さっさと逃げて!」
 謝罪は後ですればいい。今のままじゃ無理だ。ドスッと音が鳴り三回目の砲撃。バリアは鋭い音をた
てて砲弾を弾きかえす。振り返るブルーに、その負荷が解る。
「わかってますから、さっさとピンクと一緒に逃げてください」
 表面に電気が走ると、青いバリアは消散してしまう。この技は、シンクロブルーのエネルギーを消耗
させる。ゆっくりと銃を構える彼女、相手の主砲とは比べ物にならない。
「ごめん――!」
 和希は立ち上がり、猫背になる。ちくっと傷口に触れる痛みがある。たちまち貧血のような感覚がす
る。今は一先ず反対の手で止血をしながら、再度に状況を確認すると、空中へ飛び出した。四回目の砲
撃は、シンクロイエローに砲の照準を連動させていた。だが、無誘導の砲弾は、和希の動きについてい
けず、ビルにめり込み、激しい破砕音をたてた。
「ピンク――飛鳥!」
 予備戦力の投入等、和希ははじめから考えていない。戦力の逐次投入などするぐらいなら、はじめか
ら戦列に並べている。プロとして、シンクロナイツのリーダーとして、高校生の飛鳥を死地に赴かせる
つもりは彼女には無かった。
「あれ……シンクロピンク、どこへ行ったの?!」
 程なく、待機場所に戻った和希はあがった息を整えながら辺りを見回す。激しい動きにも関わらず出
血が増えることはなかったが、貧血の感覚はそのままだった。
「ここよ! シンクロイエロー!」
 和希は見上げた。排水パイプが折れて反対側のビルへ橋渡しされていた。その上にある人影が、逆光
になって見えた。
「あなた……さっさとおりてきて! 移動よ!」
 彼女の言うとおり、シンクロピンクは軽い足取りで地面へと降り立った。逆光から徐々に姿が見えて
くる。和希はそのとき息を呑んだ。いつもと違う何かを感じた。あのときの何かが、今目の前で殺気の
ようなものを孕んでいる――
「さっさと移動するわよ、ピンク――」
「ねぇ…リーダー、解っているんでしょう?」
 スーツの白い部分は濁り、模様は光沢はいつもと異なっていた。艶そのものは失われていないが、そ
こから見えるものは白というより、黒だった。



再放送ですが…


まだまだお正月気分が抜けない xsylphyx ですが
創作も進まず、もがき苦しんでおります…
と言って、何もしないで放置しておく訳にも行きませんので
いまさらですが、【マツリ】に投稿させて頂いた創作を
お出しして時間稼ぎでもしてみようかと…

オイッ!ふざけるな!! それはもう食ったから別の料理を出せ!!
などと仰らずに、もう一度、お召し上がり下さいませ
もしかしたら、何か良い事があるかもしれませんよぉ?


それでは 『参上!! 美少女剣士セイバーナイツ』 の始まりで御座います






老科学者天野彦左衛門が作り出したセイバースーツに身を包み
世界制服を企てるジャムー帝国と戦う美少女剣士セイバーナイツ。

セイバーブルー小池由佳とセイバーピンク神崎麻美は17歳の女子高生。
時給のいいアルバイトを見つけた2人がその連絡先を訪ねると
雇い主の天野彦左衛門がジャムー帝国に襲われている現場に遭遇。
逃げ出そうとした由佳と麻美だったが彦左衛門の巧妙な話術に乗せられ
言われるがままにセイバースーツを装着させられてしまい
なぜかそのままセイバーナイツとしてジャムー帝国と戦い続けていた。

そんなある日
ジャムー帝国との戦いで、生みの親でもあり指揮官的存在でもあった
天野彦左衛門を失い、苦戦を強いられていたセイバーナイツは
偶然通りかかった20歳のOL天野愛子に助けられる。

そして、愛子が自分たちをジャムー帝国との戦いに巻き込んだ
天野彦左衛門の孫だと知ると、2人はその責任を愛子に負わせ
共にジャムー帝国と戦うことを強要した。




第39話『新たなる敵 オトヒメ 敵になった愛子』



3人目のジャムー四臣官カグヤを撃破した
セイバーナイツは束の間の休息に胸を躍らせていた。

「愛子さん 早く早く!!」
「麻美ちゃん わたしは浜辺で… 泳がないから水着なんて…」
「ダメです! そんなオバサンみたいなこと言わないで下さい。
  もう信じられないですよ、ハタチの女性が水着の一着も持っていないなんて」

大きな勝利のご褒美に海に行くことになったセイバーナイツは
その準備の最中、唯一の協力者で戦闘時には的確な指示を出してくれる愛子が
水着を持っていないことを知り、彼女の水着選びに来ていた。

「わたしホントにいいから…」
「ダメですって! わたしが由佳ちゃんに怒られるんですから
  あっ、ここです。『Sea God』」

愛子の背中を押してセイバーピンク神崎麻美は事前に調べておいた店に入って行く。

「愛子さん スタイルいいからこっちビキニなんかどうですか?」
「わっ! な、なに選んでるのよ麻美ちゃん そんなの着けれないよ」
「じゃあこっちにする?」
「もっとダメよ!」

店に入って2時間。
ずっとこんな状態が続き、気づけば店にいる客は2人だけで
少し離れた場所で麻美たちのやりとりを見ていた店員が
愛想良く微笑みながら何点かの水着を持って近づいて来た。

「いらっしゃいませ
  ずいぶんお悩みのようですが、こちらなどはいかがでしょう?」

店員が無難なワンピースを並べて見せる。

「さきほどから拝見しているとビキニよりこちらの方なのかなと思いまして」
「すみません 水着なんて高校の授業で着けたきりで恥ずかしくて…」
「お客様は素敵なスタイルをしていらっしゃるのでビキニもお似合いだと思いますよ」
「ですよね?  だから愛子さん、ビキニにしましょうよ」
「もう! 麻美ちゃんダメだってば」

愛子は店員が持ってきた鮮やかなマリンブルーのワンピースを手に取った。

「これにします」
「ありがとうございます ご試着はどうされますか?」
「えっ! あっ、結構です。 サイズも大丈夫みたいですから」
「かしこまりました そちらのお客様もいかがですか?」
「あ わたしは買ったばかりなので」
「そうですか ではこちらに」

麻美は店員に案内されてレジに向かうあいだも
愛子にビキニを薦め続けていたが首を縦に振ることはなかった。

「サイズが合わないようでしたら お取替え致しますので仰って下さい。
  本日はお買い上げありがとうございました」
「いえ、こちらこそ長い時間お邪魔してすみませんでした」

店の入り口まで見送りに来て
頭を下げる店員たちに愛子も深々と頭を下げて応えてから店を出ると
頭を下げたまま見送っていた店員の口元が邪悪に歪んだ。

「フフフ… オトヒメ様にご報告を」
「ハッ かしこまりました」

小さな声で言葉を交わし、顔をあげた店員たちの瞳はマリンブルーに輝いていた。



海の底
オトヒメの移動要塞『竜宮殿』

「そう セイバーナイツの1人がジャメーバースーツを… フッ…ウフフフ…
  ソルジャーを集めるための作戦にセイバーナイツが掛かるなんて、運がいいのかしら」

専属ソルジャーを集めるために水着ショップの店員に変装させていた
部下からの報告を聞いたオトヒメの舌先が赤紫色の唇を濡らした。





一泊分の荷作りを終えた愛子は購入してきた水着とベッドの上で向き合っていた。

「買ってはきたけどわたしは泳げないし、海に入るつもりもない…
  でもそれじゃ楽しみにしている由佳ちゃんと麻美ちゃんの気分を害してしまう……」

どちらかと言うと文科系の愛子は
自分の体に自身がなく、水着を着けることに抵抗を感じていた。

「やっぱり着ないとダメよね。 でも恥ずかしい…
  水着の上からTシャツとパンツを着るくらいは許してくれるかな…」

風呂上り 肩までの髪を後ろで束ねて体にバスタオルを巻いただけの愛子が
タオルをほどき、おずおずと買ってきたばかりの水着を着ける。

「一番大人しそうな水着でもこんなに… やっぱり恥ずかしいよ エッ!?」

鏡に映った自分の水着姿に頬を紅く染めていた愛子の顔がにわかにくもる。

「な…に……いま…」

<< ニュルニュルン >>

「ヒャッ!」

机の上に置いてあった愛用のメガネを掛けてじっくりと
鏡に映っている自分の姿を 違和感を感じた下腹部を見やると
水着の表面が小さく波打ち、マリンブルーがゆっくりと
体の表面に拡がりはじめていた。

「な、なによこ…ン…ンン!!」

いつの間にか背中を覆いつくしていたマリンブルーが触手のように
伸び拡がり、愛子の鼻と口を塞ぐようにへばりついた。

「ンンン!!」

鼻と口を塞いだマリンブルーを剥がそうともがいていると
腕から指先へとマリンブルーが拡がり覆われていった。

― しまった! これはジャムー帝国の… 新しいジャムー四臣官のワナ… ―

浮かれ気分で警戒心が薄くなっていたことを
後悔したがあとのまつり。
マリンブルーで覆われた体は自由を奪われ
仰向けにベッドの上に寝かされた。
完全に鼻と口を塞がれて声を発することは出来ないが
呼吸の妨げにはなっていない。

― いったいなにを…エッ…ハゥゥ… ―

愛子が思考を巡らせようとすると
電流を流されたような衝撃が全身に走り
それは断続的に繰り返され
愛子は思考を麻痺させられて眼が虚ろになっていった。

― ジャ…ムーは…なにを……えっ……だ…れ… ―

? …ネムリナサイ… ?

ピリピリ感じていた痛みはいつの間にか無くなり
代わりに怪しい声が頭の中に響き、全身を心地よい痺れで包み込む。

― くぅはぁぁ…なに…これ……あ…あぁぁ…… ―

? …ネムリナサイ… …ネムリナサイ… …ネムリナサイ… ?

― ぁあぁ… だめ……だ…め………だ……め… ―

頭の中に響いてくる声に抗えず
愛子の瞼がゆっくりと閉じられると全身がマリンブルーで覆われた。




<< ピロピロロ ピロピロロ >>

「はぃ…もしもし……」
『うそっ! 信じらんない…』
「ん…由佳…ちゃん?」


愛子は携帯電話の着信音で目を覚ました。
電話の相手はジャムー帝国以上の強敵セイバーブルー小池由佳。
体育会系のノリでぶつかってくる由佳を愛子は苦手とし
由佳はそんな愛子の反応を楽しんでいた。

「『ん 由佳ちゃん?』じゃないっしょ 愛子ォォ!!」
「うふぇ………あっ! ゴメン
  直ぐ準備して迎えに行くから
   ホント直ぐに行くからちょっと待っててね」

携帯を切ると慌ててベッドから飛び起きた愛子は
鏡に映った自分の姿に動きを止めた。

「とっと…あれ?
  わたし水着…そのまま寝ちゃった…のかな………
   そうだ、きっとそうよ! そんなことより
    いまは強敵の怒りを静める手立てを」

何か忘れているような すっきりしない感じだったが
頭の中が由佳の怒りをどう静めるかで一杯の愛子は
急いで着替えを済ませると由佳と麻美が待っている駅前に向かった。
このとき愛子は自分の体に起きている変化に気づかなかった。
恥丘に赤紫色をした斑点が現れていることに…


「ったく こんな楽しい日に寝坊しますか?」
「ホンっトにごめんなさい」
「もういいじゃない由佳ちゃん
  愛子さんがお昼ご馳走してくれるって言ってるし」
「食べ物に釣られるな!!
  それに今回のご褒美は最初から愛子が全部…… もういい、許す
   ただし!! ちゃんと水着を着て、オレたちと海水浴を楽しんでもらう
    浜辺でなんて許さないからね!!」
「えっ!? えぇぇ!! わたし泳げないよ… 水キライだよ… それだけはご勘弁を…」

車を運転しながら泣きそうな顔をしている愛子を指差し
由佳と麻美は笑い飛ばしていた。



「「あ?い?こ?さ?ん 先に行ってるからね?」」
「もう! わかったわよ!! ハモらなくてもいいじゃない!!」

戦闘以外でも息の合ったところを見せつける2人に
愛子はほっぺたを膨らませた。

― いいわよいいわよ そんなに苛めるんだったら… ―

「ヒャヒャヒャ…… 逃げようなんて 考えてないよねェ 愛子ォ」
「そ、そ、そ、そんなこと…」

由佳は射るような冷たい視線を愛子に向けて
そう言い残すと麻美と海辺に向かった。

「ハァ… なんで寝坊したんだろう…」

重い空気を漂わせながら
愛子はカバンから水着を取り出して着替えをはじめた。
裸になって水着に足を通そうと上体を屈めた愛子は
恥丘に赤紫色の模様が浮かび上がっていることにようやく気がつく。

「あれ? アザ?…… エッ!?
  エェェ!! こ、これってジャムー帝国の」

恥丘に浮かび上がっている赤紫色をした紋様。
それが自分たちが戦っている
ジャムー帝国の紋様であることは一目で判った。

「どうしてこんな物が…… そう言えば昨日の夜……エッ…」

言いようのない不安に駆られた愛子が紋様に触れようとしたとき

? …クルノデス… ?

「な…に…」

愛子は部屋中を見渡し声の主を探した。

? …クルノデス… …サマガオマチカネデス… ?

「ジャムー帝国! どこにいるの出てきなさい!!
  わたしに何を、何を企んで!? アッ…ウグッア…アァァ……」

両手で頭を押えた愛子が苦悶の表情でその場に崩れ落ちる。

? …クルノデス… …サマガオマチカネデス… …クルノデス… ?

「ウゥ…アァァ…アァァ……イ…ヤ……こんな……こと……で…」

大きく見開かれた眼の瞳孔は開き、焦点は定まっていない。

? アラガウコトハデキナイ スデニ ジャメーバーノ ドウカハ ハジマッテイル
   マモナク オマエハ ジャムーノ タミトナルノデス ?

愛子が身に着けたマリンブルーの水着。
それはジャムー帝国が作り出した人をジャムー帝国の民に変えてしまう
恐ろしいジャメーバースーツだった。
ジャメーバーと呼ばれる細胞体を人の脳細胞に同化させて
その人間の意識にジャムー帝国への忠誠心を芽生えさせる。
そして、同化が進むにつれて顔と体の一部に紋様が表れ
同化が完了するとジャムー帝国の命令に絶対服従の
ジャムーソルジャーへと生まれ変わるのだった。

? サア タチナサイ ジャムーノシモベ  オトヒメサマガ オマチカネデス ?

「あはぁぁぁぁ……」

大きな声を上げた愛子が両手を体の横に下ろしてコクリと小さく頷く。

「…ハイ…」

返事をして立ち上がった愛子はマリンブルーの水着を
着けると誘われるように歩きはじめた。
その瞳にはマリンブルーの輝きがゆらめき
意志の光はない。



一時間後
いつまで経っても姿を見せない
愛子の様子をみに、由佳が部屋に戻ってきた。

「愛子なにして…… チッ!! あいつぅ ホントに逃げ…」

部屋中の扉を開けて、隠れているかもしれない愛子を
探していた由佳は 脱ぎ散らかったままの衣服と
メガネが残されていることに違和感を覚えた。

「麻美 ちょっとヤバイことになったかも
  うん すぐに愛子の部屋に来てくれ」

由佳は携帯で浜辺で待たせていた麻美を部屋に呼び戻した。





海底によこたわる黄金の建造物。
それはゆっくりと移動している。
ジャムー四臣官が1人 オトヒメの移動要塞『竜宮殿』。

「よく来ました 我が僕となりし者 天野愛子」
「…ハイ… お招きいただきありがとうございます」

長い黒髪に透きとおるような白い肌
光沢のある赤紫色のボンデージを纏い
絢爛たる椅子に足を組んで掛けている
ジャムー四臣官最後の1人 オトヒメ。

「最強と謳われたカグヤを葬りし セイバーナイツ。
  その頭脳が我が手駒を集めるための策にこうも容易く…」

流れるような優雅な動きで立ち上がったオトヒメは
身に着けているロングブーツのヒールを響かせ
直立不動で佇んでいる愛子に歩み寄るとロンググローブで
覆われた指に嵌まっている青い宝石の指輪を愛子にかざした。

「アァ…」

愛子が着けている水着がスルスルと全身に拡がり
首から下の全てをマリンブルーで覆いつくすと
マリンブルーの恥丘に赤紫色をしたジャムー帝国の紋様が
くっきりと浮かび上がった。
そして、紋様を中心にその周囲が楕円形に盛り上がり
紋様以外の部分が黒く変色して紋様が浮き彫りになると
楕円の両脇から赤紫の帯が伸びて腰に巻きつき
それはジャムー帝国の紋様が付いたベルトに変化した。

ベルトが完成すると
肘から先も紋様と同じ色に変わってグローブとなり
膝から下も変化して、ゆっくりと踵がせりあがり
ヒールが形成されてブーツになると、その姿は
壁際で整列して立っているジャムーソルジャーと
同じになっていた。

無表情でオトヒメを見つめる愛子の顔
その唇と目元も薄らとだったが赤紫色に染まっていた。

「フフフ… まだジャメーバーの同化が完全ではないようですね」

愛子の顎をつかんで目元と口元の変化を確認したオトヒメが
ほんのり赤紫に染まった愛子の唇を指でなぞった。

「けどそれも時間の問題…
  まもなくお前はジャムー帝国の民に生まれ変わる」

オトヒメは踵を返し 椅子に戻ると壁際の一番近い場所に
立っているジャムーソルジャーに手で合図を送る。
するとソルジャーは自分が被っているヘルメットと同じ物を
持って愛子に近づいた。

「フフフ… 天野愛子 いまよりお前はこのオトヒメが僕
  オトヒメの専属ソルジャーとして働くのです」

オトヒメの言葉にうっとりと笑みを浮かべた愛子は
胸の前で両手をクロスさせて、ゆっくりと両膝をついて跪き
ジャムー帝国に忠誠を誓う姿勢からうつむく感じで頭を下げた。

「はい オトヒメ様 喜んでお仕えさせて頂きます」

愛子の前でヘルメットを持って立っているソルジャーに
オトヒメが目で合図を送ると 愛子の頭にジャムー帝国の
紋様のレリーフが付いた、バイザーが一体となった
マリンブルーのヘルメットが被された。

「立ちなさい 我が僕、天野愛子」
「ジャムー!」

ヘルメットを被された愛子はジャムーソルジャーの言葉で応えると
直立不動の姿勢から右手を高々と掲げた。

「天野愛子 お前の敵が何かを答えなさい」
「ジャムー! ジャムー帝国に仇なすセイバーナイツにございます」

オトヒメの質問に愛子は姿勢を崩さず応える。

「ウフフフ… よろしい」

オトヒメが手で合図を送ると愛子は手を下ろし
壁際に並んで立っている同じ姿をした
オトヒメ専属のジャムーソルジャーの列に加わった。





「まったく! 寝坊はする 迷子になる どっちが保護者だっての!!」

行方不明になった愛子を一日中探し続けた2人は
夕日が綺麗な岬の岩場を捜索していた。

「愛子さん どこ行ったんだろう…
  由佳ちゃん これってやっぱりジャ!?」

言葉を止めた麻美はゆっくりと移動して由佳と背中合わせになる。

「やっぱりジャムーの仕業だったのかな こっちに5人」
「こっちも5人… いや6人だ」

日が沈み薄暗くなった周囲に2人を取り囲むように幾つかの人影が現れた。

「ジャムー怪人の姿が見えないけど ソルジャーだけで襲ってきた?
  う?ん カグヤのソルジャーとは色が違うみたいだけど…」
「新しい四臣官が挨拶に来たってことか!
  しかし、ソルジャーだけってムカツクよな 麻美!!」
「オッケー!!」

2人が左手首に嵌められた腕時計を高々と掲げて
セイバーナイツに変身するためのキーワードを叫ぼうとすると

「ジャムー! 2人を変身させるな!!」

岩の上に立っているジャムーソルジャーの声と共に
ソルジャーたちが一斉に変身ポーズを決めたまま
止まっている2人に襲い掛かってきた。

「なに!!」
「キャアッ」

「ジャムー! 変身させなければ ただの女子高生だ!!」

少し離れた岩の上に立っているソルジャーが
10体のソルジャーを自在に操り、由佳と麻美をバラバラに分断して行く。

「ちょ、ちょっと、由佳ちゃん! あのソルジャーの声!!」
「チッ! なんでジャムーのソルジャーやってんだよ バカ愛子!!」

ジャムーソルジャーたちを指揮しているソルジャーが
天野愛子であることは2人にはすぐに判った。

「ジャムー! 神崎麻美は右に逃げる癖がある!
  そこの岩場の窪みに追い詰めろ!!
   もっと小池由佳を苛立たせるんだ!
    そうすれば周りが見えなくなり動きが単調になる!!」

2人の癖を熟知している愛子から出される的確な指示と
戦況を見極める眼が確実に由佳と麻美を追い詰めて行く。

「あいつぅ!! 好き勝手言いやがって…
  絶対海に突き落としてやる!! 麻美、援護しろ!!」
「エエッ!? そんなの無理よぉ」
「何もしないうちから無理って言うな!!
  愛子にお前がいなくても戦えるって見せつけてやるんだ!!」
「いや… 由佳ちゃん 愛子さんを助け出す方向で…  エイ!!」
「由佳ちゃんこれ!!」

岩の陰に落ちていた流木を拾い上げた麻美が
包囲しているソルジャーを打ち据えて包囲を崩すと
由佳のほうに駆け出し、持っていた流木を渾身の力で投げつけた。

「ちょっと麻美!! どこ投げて… 麻美?」

麻美の投げた流木は由佳を囲んでいるソルジャーの頭を直撃し
由佳が駆け出した麻美を見やるとその姿は忽然と消えていた。

「セイバーチェーンジ!!
  邪悪な悪を切り裂く乙女 セイバーピンク参上!!」

中が透けて見える剣道や合気道で着用される
胴衣と袴に似た白い着物の下にローズピンクのレオタードに
同じ色のフィンガーレスグローブと膝上までの踵のあるソックスを
着けたセイバーピンクが由佳の目の前に降り立ち
ピンクに輝くセイバーソードを構えた。

流木でソルジャーの注意を逸らした麻美は
岩を踏み台にしてジャンプすると
空中でセイバーピンクに変身していた。

「由佳ちゃん 援護するよ」
「ご苦労! セイバーチェンジ!!」
「ジャムー! 何をしている、セイバーブルーに変身させるな!!」
「汚れ無き心で悪を討つ セイバーブルー参上!!
  愛子! 少ぉし遅かったな  セイバースラッシュ!!」
「「「「「 ジャムー! 」」」」」

セイバーピンクと色違いのスカイブルーの装備を纏った
セイバーブルーの必殺技が掴みかかってきたソルジャーを一閃した。

「ジャムー! おのれセイバーナイツ!
  よくもオトヒメ様からお借りした大切なソルジャーたちを!!」

岩から飛び降りた愛子が残されたソルジャーたちと一緒になり
ギリギリと歯を噛みながら由佳と麻美を取り囲み睨んでいた。

「愛子さんなんでしょう!
  わたしたちは愛子さんと戦いたくないの 愛子さんは大切な仲間だから!!」
「ジャムー! 戯言を!! セイバーナイツは敵! ジャムー帝国の敵!!
  セイバーナイツに変身されてもまだチャンスは」
「愛子ォ!!」

敵意を剥き出しにしている愛子の名前をセイバーブルーが大声で叫ぶと
ビクッと体を反応させた愛子が2歩3歩と後ろにさがった。

「ジャあ……あ……… 由佳…ちゃん…」
「いい加減にしないと本気で殴るぞ! 聞いてるのか 愛子ォォ!!」
「ひぃ…  い、いや… わ、わ、わたし… わたし…」

愛子はヘルメットの上から頭を抑えてオロオロしはじめた。

「愛子…さん?」
「おまえら! 愛子から離れろ!!」

愛子を見やり佇んでいるジャムーソルジャーにスカイブルーの刃を一振り
一喝するとソルジャーたちも2歩3歩と後ずさりしていた。

「愛子さん? わたしたちが判りますか?」
「わ、わたし…わたし………麻美…ちゃん…」
「愛子さん 判るんですね」

セイバーピンクが愛子に近づこうとすると閃光が走り
足元で小さな爆発が起こった。

「なに!?」
「何をしているのですか 我が忠実なる僕 天野愛子」
「あぁ…あぁぁ…… オト…オトヒメ…さま…」

さっきまで愛子が立っていた岩の上に
光沢のある赤紫のボンデージを纏った女性が優雅に舞い降りた。

「お前が新しい四臣官か!!」
「我が名はオトヒメ ジャムー四臣官が1人
  フフフ… 我が僕となった天野愛子に一瞬とは言え、自我を取り戻させるとは…」
「黙れオトヒメ! 愛子に何をした!!」
「ご覧のとおりよ 天野愛子は我に仕える僕になったのです
  天野愛子 心を静めなさい  お前はオトヒメの僕 そうですね」
「…ジャムー… わたしはオトヒメ様の僕…です…」
「愛子ォォォ!!!!」
「…ジャあっ……由佳…ちゃん……」
「ウフフ… ホント 楽しませてくれるわ」

オトヒメが青い宝石の指輪を愛子にかざし、宝石の青い光を浴びせる。

「あっ…やめ……あはぁぁぁ…
  ジャ…ムー……わたしは…オトヒメさまのシモベ…何なりとお申し付け下さい…」

ヘルメットに付いたレリーフの
双頭の怪鳥の眼が不規則に青く明滅しはじめると
愛子は胸の前で両手をクロスさせてゆっくりと両膝をついて跪いた。

「天野愛子 お前の敵が何かを言いなさい」
「ジャムー… それは…セイバーナイツです」
『由佳ちゃん ヘルメットの紋様をみて きっとあれで愛子さんを操っているのよ』

オトヒメが愛子に施している妖しい儀式の最中
セイバーピンクがそっとブルーの背後に忍び寄り耳打ちする。

「そう言うことか、なら任せろ!  セイバームーンショット!!」

スカイブルーの刃から放たれた青い三日月が
跪いて動こうとしない愛子のマリンブルーの戦闘服と
ヘルメットを一瞬で切り刻んだ。

「ハウッ…アァァァ… オトヒメ様ァァァ…」

大きな声でオトヒメの名前を叫びながら
前のめりに倒れる愛子をセイバーピンクが受け止めた。

「愛子さん 愛子さん!」
「うぅ…うぅぅん………麻美…ちゃん?……おはよう…
  い、いだい…いだいよ …ゆがぢゃん…いだい…」

セイバーピンクに抱き止められた愛子が寝惚けた言葉を発した瞬間
セイバーブルーが愛子の両頬を抓っていた。

「なにがおはようだ! 心配かけやがって!!
  ジャムーなんかに操られやがって!! 反省しろォ!!」
「だがだっで…イダイ…イダイイダイ… づでだなぐでも…」
「フッ…フフフ… 余裕? それとも、ただのおバカさん?」

岩の上から3人を見下ろしているオトヒメが不敵に微笑んでいる。

「愛子は返してもらったぜ 勝負だ、オトヒメ!!」
「ウフフ… 結構よ
  今日はほんのご挨拶、このまま引き上げてあげるわ」

くるりと踵を返したオトヒメが岩場の影に姿を消した。

「待て!逃げるのか!! オトヒメ!!」
「ブルー 今は愛子さんを」

いつのまにか愛子はセイバーピンクに抱かれたまま
深い眠りに落ちていた。

「こ、こいつまた… でも良かった いつもの愛子に戻って…
  このまま愛子が敵になっちゃうんじゃないかって…
   仲間と戦うなんて考えたこともなかったから」
「そうね オトヒメは今までの臣官とは違うみたいだから
  これまで以上に注意しないと 愛子さんに助けてもらうばかりじゃなくて
   わたしたちも愛子さんを守ってあげないと」
「頼りないようで頼りになるんだよな こいつ…」

由佳は変身を解除すると子供のように寝ている愛子を背負って歩き出した。

「なぁ麻美 あまりにも簡単に引き上げすぎだと思わないか」
「うん わたしも考えてた。挨拶だけだなんてありえない
  愛子さんを誘拐して自分の手駒にまでしたのにあれだけって…」

オトヒメの潔すぎる撤収が由佳と麻美にはいまいち腑に落ちなかった。

「もしかしたら こいつはまだオトヒメの…」

由佳が立ち止まり背中で寝息をたてて眠っている愛子の顔をのぞきんだ。

「んなわけないか…
  しっかし、あんな目に合ったとこなのに寝るか?」
「クスクス… どう見ても愛子さんね」
「まったく… アァァッ!! おい、麻美
  今日って、カグヤを倒したご褒美のはずだよな」
「うんそうだけど いまさらどうしたの?」
「どうしたのじゃない! オレたち まだ海で泳いでない!!」
「あっ そ、そうだね 浜辺ではパラソルの下だったしね」
「愛子ォォ…絶対許さねェ! 明日海に沈めてやる! 砂に埋めてやるぅ!!」
「アハハ… 由佳…ちゃん……無茶は止めようね」




その日の夜
部屋のドレッサーの前で能面のような顔で
鏡に映る自分を見つめていた愛子が口元をつり上げ微笑むと
瞳の中心からマリンブルーが拡がり、唇と目元が鮮やかな赤紫で彩られた。

「全てはオトヒメ様の仰せのままに…」

狡猾な笑みを浮かべた愛子が立ち上がると、するすると浴衣が滑り落ち
露になった肢体はマリンブルーと赤紫の戦闘服に包まれていた。
愛子はその姿のままホテルを抜け出し、桟橋で待っていた
ジャムーソルジャーと合流するとオトヒメが待つ『竜宮殿』がある海底に消えて行った。


仲間に加えて頂きました?



霧鎖姫ジャック様の『煉獄歯車』様(http://taikeihozumi.hal55.com/)
と相互リンクして頂けることになりました。
MC・洗脳・操り・悪堕ち・寄生・憑依・獣化・異形化といった
ジャック様が創作された素敵なSSやイラストがたくさん補完されていますよ?


あけましておめでとうございます 本年もよろしくお願い致します


あけましておめでとうございます
旧年中はたくさんの応援ありがとうございました
本年ものらりくらりと創作するつもりでございますので
よろしくお願い致します


えーと
新年には新作をと思っていたのですが…スミマセン
全然間に合いませんでした(汗
で、ある場所でそっと公開していた創作を表舞台に引っ張り出して来ました
すでにご覧になった方もいらっしゃると思いますが…
もう一度お召し上がりくださいませw

『Hacker』 どうぞご賞味下さいませ。






「今日のハッカー獣は少し手強かったですね」
「そうだよな まさかハッカーシールドを破って
  シンクロスーツに同化してくるとは思わなかったぜ  飛鳥、大丈夫だったか?」
「は、はい 診断プログラムは異常ありませんでした
  助かりました ありがとうございます」
「飛鳥さんがハッカー獣に操られたときは、どうなるかと思いましたよ」
「飛鳥ちゃん ホントに大丈夫?」
「はい、大丈夫です 和希さん」


天才科学者左近右京に集められた4人の戦士シンクロナイツは
左近が開発したシンクロスーツを纏い、地球侵略を企む
機械生命体ハッカーと戦い続けていた。

宇宙より飛来したハッカーはハッカーパーツと呼ばれる機械部品を
地球上の様々な物に同化させ、侵略活動を行う手駒にしていた。
そしてハッカーパーツに同化され、ハッカー獣となった物は
2度と元の姿には戻れず、ハッカーの為に働く部品となり働き続ける。


何十ものハッカー獣を打ち破ってきたシンクロナイツはこの日苦戦を強いられた。
特殊な電磁フールドを発生させる装置ハッカーシールドを身に着けている
シンクロナイツがハッカーパーツに同化されることは有り得ない事だった。
だが今回戦ったハッカー獣が生み出すハッカーパーツはシンクロナイツの1人
シンクロピンクと同化すると、ピンクを意のままに操ってしまったのだった。

幸いなことにシンクロレッドが繰り出した一撃がハッカー獣の頭部にあった
制御ユニットを破壊、操られていたシンクロピンクを取戻し勝利をつかんだのだが…


『飛鳥クン スーツの診断プログラムではキミ自身に同化された痕跡が見つかっていない
  だがハッカーに同化されたキミのスーツを信用する訳にはいかない
   念のためシンクロベースに戻って、メディカルチェックを受けて貰えないかね』
「左近博士 申し訳ありませんが、今日はこのまま帰宅させて頂けないでしょうか」
『出来れば直ぐにでも、メディカルチェックを受けて貰いたいが…』
「左近博士 飛鳥ちゃんは高校生です
  今からベースに戻ってメディカルチェックを受けていたら遅くなりますよ」

疲れきった様子の飛鳥をかばうように、シンクロイエロー平井和希が口を挟む。

『…そうだね  飛鳥クン 体に違和感を感じたら、直ぐ、シンクロベースに来なさい』
「ハイ 左近博士すみません  明日、学校が終わったら必ずシンクロベースに入ります」
『宜しく頼むよ
  和希クン、予備のハッカーシールドを飛鳥クンに渡して、変身ブレスを預かって来てくれるかね?
   今夜中にメンテナンスを終わらせておきたい』
「了解しました 左近博士」

飛鳥はシンクロピンクの変身ブレスを和希に渡すと
女性VIP用に用意されているブレスレットを受け取った。

「それじゃ飛鳥ちゃん 気をつけて帰るのよ  誰か護衛に付ける?」
「いえ 大丈夫ですから…  みなさんお疲れ様でした」
「お疲れ 飛鳥」
「気をつけて下さいね 飛鳥さん」

飛鳥は笑顔を作ると頭を下げて仲間と別れた。

「パーツに同化されたけど、飛鳥ちゃんは大丈夫みたいね」

走り去る飛鳥の姿を見やり、和希は安堵の表情を浮かべた。



その日の深夜
数年前の医療ミスで今は廃墟となっている病院の地下室に飛鳥の姿があった。
そこは小さな明かりが明滅する電子機器の基盤で埋め尽くされた空間。
ハッカーの前線基地となった地下室の中央に巨大な金属の目玉が浮かんでいる。

<シンクロピンク ハッカーの精神コントロール装置で操られる気分はどうだ?>

自分を見上げて佇んでいる飛鳥に目玉が電子音声で話しかける。

<そう言えばまだ、精神コントロールを解除していなかったな>

金色に輝いていた目玉の瞳が銀色に変わり

「ハッ…… わ、わたしは… ここは…どこ…   ハ、ハッカー獣!!
  クッ! 体が動かない…どうして……   そうだ
   ハッカーパーツに同化されたあの時、何かがわたしの頭の中に」

体を動かすことが出来ないが、意識を取戻した飛鳥が
目の前で宙に浮かんでいる巨大な目玉に声を荒げた。

<わたしはハッカー獣などではない ハッカーを統べる者『ハッカーキング』>

「ハッカー獣じゃない? ハッカーキング?…… それじゃこの目玉がハッカーの…
  エッ!?  ちょっと何するのよ!  や、止めてよ!!」

飛鳥の意識に関係なく、飛鳥は着ている物を脱いでゆく。

<パーツの同化と同時に装着させた その精神コントロール装置でキミは私の支配下にある>

服を脱いだ飛鳥は黒い金属膜で出来たレオタードを身に着けていた。
夕刻の戦いでシンクロスーツにハッカーパーツを同化させられたとき
飛鳥はこのレオタード型の精神コントロール装置を着せられ、キングに操られていたのだ。

「これでわたしを操って何をするつもりなの!!」

<言うまでもない  キミは私の手駒として、シンクロベースに戻り
  ハッカー獣と同じように部品として働くのだ>

「イ、イヤよ! 誰がハッカーの為に働くものですか!! それに…」

思わず勢いで話しそうになった言葉を飲み込んだが

<ハッカーを感知するシステムで事前に察知される そう言いたかったのだろう
  だが安心したまえ、キミにはパーツを同化させたりはしない>

「パーツを同化させない?  さっきと同じようにわたしを操るつもりね」

<残念だが少し違う>

「エッ?」

飛鳥の足元が動き出し、目玉の下まで飛鳥を運ぶ。
そして目玉から伸びたアームが飛鳥の首、腰、足、腕を固定して
頭に目玉とケーブルで繋がったフルフェイスヘルメットが被された。

「な、何を…するつもり…」

<これからキミのメモリーをコピーさせてもらう>

「メモリー…  記憶ってこと?」

<そうだ そしてコピーしたメモリーをハッカーに改造し
  そのメモリーでキミのメモリーを上書きする>

「ちょちょっと… それって…
  わたしの記憶を作り変えるって…こと…… そんなの…イヤ…」

高校生の飛鳥を言い知れない恐怖が襲う。

<何も恐れることはない  自分がハッカーの部品であるというメモリー以外は
  全てオリジナルのキミのメモリー  キミには結城飛鳥でいてもらわないと意味がないからな>

ヘルメットからファックスの送信音のような音が流れてくると
飛鳥は自分の意識が薄れていくのが分かった。

「イヤ…やめて……ハッカーには…なり……たく…」

コクリと飛鳥の首が折れると黒いレオタードは溶けたように体から流れ落ち
代わりに体を固定しているアームから滲み出した銀色の液体が全身を包み込む。
液体はグニャグニャと凹凸を作り、しばらくすると飛鳥がいつも纏っている
シルバーと濃いピンクのシンクロスーツへと変化した。

<これからはこのハッカースーツを装着して、ハッカーの戦士としても働くのだ>

機械生命体が作り出したスーツの表面には回路が細かい模様のように描かれ
その上を光の点が動きまわり、輝いているように見えた。



そして数時間後…


<目覚めよ 結城飛鳥>

『……ハイ…』

ヘルメットの内蔵スピーカーで電気的に変換された冷たい飛鳥の声が響く。

アームから開放された飛鳥はゆっくりと移動すると
目玉から少し離れた場所で直立不動の姿勢で宙に浮かぶ目玉を見上げた。

<キミに課せられた使命を答えよ>

『ハイ わたしハッカーピンクの使命
  それはシンクロナイツをハッカーに改造することです』

そう答えるとヘルメットの目の部分が青く冷たく輝いた。

<ハッカーピンク
  手始めにシンクロナイツのリーダー シンクロイエローに精神コンロトール装置を着せるのだ>

「ハァ! ハッカーキング様の仰せのままに」



翌日の夕刻、飛鳥は何も無かったかのようにシンクロベースに現れると
シンクロイエロー平井和希に黒いレオタード型の精神コンロトール装置を
纏わせる機会を窺っていた。


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