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GWも明日まで…



5月最初の更新は大変お世話になっております
『Kiss in the dark』様、180万ヒット記念の
素敵なイラストを拝見して創作したお料理『鬼の鎧』です
イラストから妄想するイメージと随分違うなぁと感じる創作ですが
管理人のg-than様にお許しをいただき当店に並べさせて頂きました





鬼の鎧


「ひとおもいに…やりなさいよ…」

両手を鎖で縛られ、天井からぶら下げられている少女が声をもらす。
彼女の名は霧島澄夏(きりしま すみか)。
特殊パワースーツを装着し、修羅率いる魔鬼軍団と戦うパワードポリスの隊員。
街に現れた魔鬼軍団を殲滅するため、彼女は仲間と共に出動したが、女魔鬼般若の卑劣なワナにかかり、とらわれの身となっていた。

「ギーッ! 殺さない程度に可愛がれと新しい幹部様のご命令だ」
「新しい…幹アグッ…」

刺のある棍棒でお腹を殴打された澄夏がくの字に折れ、口から血の混ざった嘔吐物を吐き出す澄夏の眼が空中を彷徨う。

「カハッ…」
「ギーッ! オネンネするにはまだまだ早いぞ オラッ!」

汚れた臭い水を頭からかけられ無理やり意識を引き戻される。

「…せ… はや…く……ろせ…」

澄夏が装着しているシルバーメタリックのパワースーツは部分部分が破壊され、あどけない少女の顔が澱んだ外気に晒されていた。

「ギーッ! 同じことしか言えねぇのか! オラッ! オラッ!!」
「ゲフッ ガハッ」

黒ずんだ緑の肌をした餓鬼は積年の恨みを晴らすかのように澄夏を殴り続けた。




どれくらいの時間が過ぎただろう。
ぐったりと首をうな垂れている澄夏のまわりに餓鬼たちの姿はない。
殴り続けられた澄夏のパワースーツと生命維持装置を兼ねたアンダーウェアは跡形もなく破壊され、傷ついた白い肌が露出していた。

「…いまのうちに…なんとか…」

拘束されている手を力なく動かし、脱出を試みる澄夏。

「アッつぅ…」

少し体を動かしただけで爪先から脳天まで激痛が走る。

「クッ… 痛くて…上手くいかない…」

痛みを堪えて体得している脱出術を試みながら、まだ輝きを失っていない眼を執拗に傷つけられた胸元に向けると蝋燭の炎で照らされた肌が青黒く変色していた。

「…乙女の柔肌に…こんなアザを… …アイツら…絶対許さないから…」
「なんだ、元気じゃないか オマエを生け捕りにしたのは正解だったようだね」

暗闇から蝋燭の明かりの中に入ってきた人影が愉快そうに話す。

「般若! 面白いことしてくれるじゃない!! それにその姿、それって」

目の前に現れた女魔鬼般若はこれまでと違う身なり、漆黒の衣と鎧を着けた武者姿で数体の餓鬼を引き連れていた。

「ああその通りさ 黒鉄の羅刹様の鎧と衣さ  修羅様が羅刹様にとどめを刺した敵を生け捕りにした功を認めて下さってね」
「まさかさっき餓鬼たちが言ってた新しい幹部って」
「そうさ それはわたし、黒鉄の羅刹のことだよ」
「あなたが羅刹?幹部になるって? アハハッ あなた程度の魔鬼が幹部だなんて、わたしたちが魔鬼軍団を壊滅させる日が近いってことね」

余裕の笑顔を見せた澄夏だったが、不敵な笑みを浮かべている羅刹の後ろに控えている餓鬼たちに視線を移すと笑顔が消えた。

「まさかそれをわたしに」
「これから何をされるのか分かったようだね」
「ッそ! どうして外れないのよ!」

慌てた様子で拘束から逃れようとしている澄夏を羅刹があざ笑う。

「修羅様から褒美としてオマエも頂いたのさ これからは…」

邪悪な笑みを浮かべた羅刹が餓鬼たちに合図を送ると澄夏の拘束が解かれ、自由を取り戻したかのように思われた。
だが、床の上に下ろされた澄夏の体は気を付けをしたまま動くことが出来ない。

「!? か、体が…」
「ここは修羅様の悪気で満たされた世界  傷口から浸入した悪気はオマエの自由を奪うのさ」
「な、なんですって…」

澄夏が恐怖に顔を引き攣らせると、餓鬼たちが彼女の腕を掴んで水平に上げさせ、持っていたグローブを装着する。
肘までを覆うグローブを両手に装着されると、次は足を持ち上げられ、膝までのブーツを履かされた。

「や、やめなさい こんな物を着せられても、わたしは」

羅刹はニヤリと口角を吊り上げ、自分と澄夏の間の空間に彼女の姿を映し出す。
裸でグローブとブーツだけを着けた自分の姿を見せられた澄夏が大きく目を見開いた。
グローブとブーツを着けられた腕と足の肌が、目の前で腕を組み邪悪に微笑んでいる羅刹と同じ色に変化し、瞬く間に全身の肌が青白く染まる。

「や、やだ なによ…これ…」
「言わなくても分かってるだろうけど、餓鬼どもがオマエに着けているのは般若だったわたしの鎧さ  棄てるのも何だからね 修羅様にお願いして、悪気を高めて頂いたのさ  オマエを魔鬼に、般若にするためにね」
「そ、そんな… わたしが魔鬼になるなんて…」
「どうだい 自分の躯に悪気が染込んでゆく、魔鬼に変わってゆく感じは」

澄夏の青白い躯に胸当や腰当が装着されると肌の傷が癒され、腕と顔を除く全てが艶のある青味をおびた妖艶な躯に変わった。

「い、いや… 魔鬼なんて…いやよ…」

身に着けられてゆく鎧を脱ぎ去りたかったが、腕はおろか指先すら動かすことが出来ない。
羅刹は餓鬼が持っていた肩当とマントを奪い取ると自らの手で澄夏に着せる。

「これからはオマエが般若となり、わたしの側近として働くのさ」
「いや… 絶対いや… 般若なんかになりたくない… 殺して…   殺しなさいよ!!」
「その顔、いいじゃないか 魔鬼らしくなってきたよ  あとはこの兜だけだね」

餓鬼から兜を受け取りながら嘲笑う羅刹を鬼のような形相で睨む澄夏の頭に、彼女には大きすぎるツノの生えた不気味な兜が被されると、それはまるで生きているかのように澄夏の頭のサイズに縮み、ギリギリと頭を絞めつけた。

「イギッ…グギャアァァッ!」

兜から頭の中に侵入してくる悪気と絞めつけられる激痛に目を見開いて絶叫する澄夏。
羅刹は変化してゆく澄夏の様子を楽しそうに見つめていた。

「ウグゥ… フグゥ… ングゥゥ!!」

うめき声をあげる澄夏の唇が鬱血したように青黒くなり、見開かれた瞳が小さくなる。

「脳ミソに悪気が染み渡ったようだね  オイ、躯を動かしてごらんよ」
「…コロ…ス… …コロス… ニンゲンコロス…」

澄夏の指先がピクリと動き、グローブを嵌められた手をゆっくりと握り締めると、白目だけになった眼の中心に金色の輝きが生まれ、それは次第に大きくなると新しい金色の瞳に変わった。

「殺す… 人間どもを皆殺しにする…  フフッ…新鮮な血…肉が食べたい…」

マントを広げて目の前に映し出されている自分の姿をうっとりと眺める澄夏。

「その前にやることがあるだろう」

自分の姿が消えて羅刹の姿が現れると澄夏は流れるような動きで片膝を折り跪いた。

「黒鉄の羅刹様 何なりとお申し付け下さい」
「ん? オマエは誰だったかね」
「ら、羅刹様 いま… いえ… 羅刹様のご期待に副える働きが出来ないが故のこと… 申し訳ございません 羅刹様  いましばらく、わたくしめに羅刹様の忠臣 魔鬼般若と名乗る事をお許しくださいませ」

魔鬼般若となった澄夏を試し、満足の笑みを浮かべる羅刹。

「冗談だ 貴様の働きには期待している  これからもこの羅刹様に仕えよ」
「勿体無きお言葉… この般若、命を賭して羅刹様に仕え致します  次こそ必ず、羅刹様に仇なす者ども血祭りに上げてごらんにいれます」

魔鬼般若に変えられた澄夏が仲間だった者たちを葬ることを誓うと、羅刹は口角を吊り上げ邪悪な笑みで答えた。


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コメント

非公開コメント

近未来の警察と戦国時代の武士の亡霊?の戦いという感じでしょうか。

今までにないシチュエーションで楽しめました。

僕は、g-thanさんのイラストに近い感じだったと思いますよ。

おいしくいただきました。

最後は過去の記憶が入れ替えられてしまった感じなのかな?
楽しい作品でした。
ありがとうございました。

metchy 様
ありがとうございます
鎧武者と妖怪?怪物?の混合と言う感じでしょうか(汗
少し古風な感じを表現したかったのですがなかなか上手く行きませんでしたww


舞方雅人 様
ありがとうございます
鎧と一緒に般若の意志を押し付けられたと言う感じかなぁ…ww
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